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悪性脳腫瘍の耐性機構が明らかに

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

脳腫瘍が周囲の微小環境を操作することによって特定の治療に耐性になるために利用している可能性のある経路が明らかになった。最初の治療と併用してこの機構を遮断したところ、マウスの生存期間が有意に延長できることが示された。神経膠芽腫(GBM)は、最も頻度が高く悪性度の高いタイプの成人脳腫瘍であり、現在の標準治療では生存期間をわずかしか延長できない。GMB腫瘍ではマクロファージが大量に存在し、高濃度のコロニー刺激因子(CSF-1)を発現する傾向がある。今回、Daniela Quailらは、BLZ945と呼ばれる薬剤でマウスのCSF-1を阻害すると、腫瘍退縮が認められたことを明らかにした。しかし、GBM腫瘍のほとんどはBLZ945に耐性となった。癌のCSF-1を標的とする薬剤の臨床試験が現在行われているため、これは興味深いことである。さらに検討したところ、GMB再発がマクロファージ分泌性IGF-1によるPI3-K活性上昇と関連していることが明らかになった。BLZ945に加えてPI3-KまたはIGF-1阻害薬を投与したマウスは、対照マウスと比較して生存期間が有意に長くなり、利益が得られた。Quailらは、BLZ945耐性腫瘍を未処理マウスに植え込み、GBM腫瘍がこのPI3-K/IGF-1機構を利用して周囲の微小環境が有利になるよう操作していることを明らかにした。このように、腫瘍は、腫瘍そのものとは無関係な微小環境に依存した機構によって耐性を獲得することもできる。

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