News Release

特別号:イランのサイエンス

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

Female Scientists, Tehran, Iran

image: Female scientists in the andrology lab at the Royan Institute are shown in Tehran, Iran. view more 

Credit: [Credit: Ebrahim Mirmalek]

このニュースリリースには、英語で提供されています。

Science誌の新コーナー「イランのサイエンス(Science in Iran)」からの特集号では、ここ数年にわたり国際的な反発と孤立に直面してきた国の科学研究における挑戦と勝利について検討している。イランの核取引に関するイラン原子力庁(Atomic Energy Organization)長官 Ali Akbar Salehiとの独占インタビューに続いて、Science誌の国際ニュースエディターRichard Stoneがイランにおける科学研究の取り組みの現状についてさらに詳細に論じている。数十年にわたる経済制裁により、イランの科学者たちは不可欠なリソースの不足と協力体制の弱体化に直面した。このような壊滅的とも言える国外からの制限と、また国内の資金援助の極端な不足にもかかわらず、イランの科学的研究コミュニティは存続しつづけた。多くの場合、自前の創意工夫によってゼロから自ら必要なリソースを作り出すことで、科学者たちは目ざましい業績を達成した。今回、来るべきイランとの交渉によって国際制裁が緩和される可能性があることを考えると、こうした苦境の中で得られた科学的成果は、すぐに誰にでもアクセス可能となる可能性がある。これまで世界の研究者たちには秘密にされてきた詳細な情報を盛り込んだストーリーの中でStoneは、制裁にもかかわらずイランで続けられてきた科学研究と、より相互協力的な環境においてもたらされる可能性のある成果について、興味深い洞察を提供している。

第2のストーリーでStoneは読者に、イランが過去において成し遂げた天文学上の栄光の一端を取り戻すに至った、長い過程を紹介している。その具体例として挙げられているのが、3.4メートルの反射鏡を備えた世界レベルの光学望遠鏡を有するイラン国立天文台(Iranian National Observatory:INO)である。この天文台の構想は1980年代に遡るが、戦争や政治的混乱、そして資金援助の不足が次々と天文台の建築を妨げた。最近明らかにされたところによれば、ようやくINOに運命の女神が微笑んで、現時点で2016年の春には完成予定である。近いうちにINOは稼働でき、暗黒物質の探索や銀河系発生に関わる複雑な問題の調査に乗り出すことになろう。

最後のストーリーでは、消滅しつつある塩湖、ウルミア湖について取り上げている。ウルミア湖は急速に干上がりつつあり、塩の砂漠が広がって有害な粉塵を発生させ、農作物や住民を脅かしている。ウルミア湖が干上がりつつあるのは主に水管理が原因とされ、湖に流れ込む水の約90%を担っていた3つの川に、灌漑や水力発電のためにダムが作られた。湖周囲の盆地に非合法に掘られた推定で40,000個とされる井戸の存在が、問題を複雑にしている。ウルミア湖を救うため、イラン政府はこれまでで最大の環境プロジェクトを立ち上げた。

このニュース特集号は、付録としてイラン科学省大臣Mohammad Farhadiによるエディトリアルを掲載しており、国際的な科学協力をさらに促進し、国際的な相互関係の新しい時代に乗り出すためのイランの対応に焦点を当てている。

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Note: This special news package will be available for free when the embargo lifts at http://www.sciencemag.org.


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