News Release

エリート集団は資金分配の際に平等性より効率を重視する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

このニュースリリースには、英語で提供されています。

新しい研究により、資金分配の際、経済的に豊かで教育水準の高いエリートは傾向として多くの一般人に比べ公平さに欠け、効率性を重視しがちであることが判明した。さらに、エリートらの資金分配方法は将来の職業選択を反映し、平等性より効率を選択する人は企業に就職する傾向が強い。Raymond Fismanらはさまざまな社会経済的集団間における公平性と効率性の相違を評価するために、米国社会では権力のある地位に就く可能性が高いと考えられるイェール・ロー・スクール(YLS)の学生らの分配選好を調査した。YLSの学生208名を調査し、彼らの回答を、米国の幅広い成人を対象としたインターネット調査American Life Panel(ALP)から彼らと同世代の人々の回答と比較した。意思決定問題を含む実験において、再分配の相対コスト(relative cost of redistribution)が上がると他者への分配の割合を減らした被験者は効率志向(支払総額を増やす)、一方、再分配の相対価格(relative price of redistribution)が上がると他者への分配の割合を増やした被験者は平等志向(支払額の差を減らす)である。被験者の反応に基づき、「公平」に分類されるのはYLSの被験者ではわずか14.4%であったのに対し、ALPの被験者では37.2%であった。対照的に「効率性重視」については、YLSの学生が79.8%であったのに対し、ALPでは49.8%であった。次にFismanらはYLSの学生の職業選択について知るために卒業時に追跡調査を行った。非営利組織でのキャリアを選択したYLSの学生らはかなり平等志向が高く、一方、企業を選択した学生は効率志向だったと述べている。政策立案者になる可能性の高いエリート集団の分配傾向から米国での高まる所得不平等に対する「消極的な」政策の説明が付くと考えられるとFismanらは述べている。

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Article #8: "The distributional preferences of an elite," by R. Fisman at Boston University in Boston, MA; P. Jakiela at University of Maryland, College Park in College Park, MD; S. Kariv at University of California, Berkeley in Berkeley, CA; D. Markovits at Yale University in New Haven, CT.


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