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小惑星の予期せぬ豊富な水素から明らかになる地球の水の起源

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

小惑星の物質は乾燥した太陽系の内側で形成されたため、水が含有されていないと推定されていたが、十分な水素が含有されていて、地球の海洋にある水の質量の少なくとも3倍が地球に供給されたと思われることが新たな研究から示された。頑火輝石球粒隕石(EC)という隕石には十分な水素が含まれていたため、成長しつつある原始地球に水が供給されたとの着想が提案されてきたが、ECの水素濃度を測定することが困難なこと(今回の研究によって克服された障害である)から、このシナリオを厳密に検証する取り組みが妨げられていた。いくつかの太陽系形成モデルによると、地球は乾燥していなければならない。しかしながら、青い惑星である地球の広大な海、湿った大気および十分に水を含んだ地質からは、そのような予想が大胆に否定されており、太陽系の内側にある岩石惑星の中で地球が特異な存在になっている。したがって、議論はされているが、地球の水の起源は不明なままである。頑火輝石球粒隕石という隕石は、太陽系を形成した星雲から造られた宇宙空間の石であるが、地球を形成した岩石の代表例であることが知られている。しかしながら、ECは太陽の近くで形成され、そこでは温度条件が暖かすぎて、水氷が存在できないので、ECはあまりに乾燥していて、地球に豊富に貯えられてる水を説明することができないと思われていた。したがって、概して、地球の水は地球形成後に炭素質コンドライトという隕石などのより水分を含んだ物質によって追加供給されたと考えられており、炭素質コンドライトは太陽系の外側が起源であり、そこでは水がより豊富であった。地球の水の起源を取り巻く不確実性を制約するために、Laurette Pianiらは、13個のEC隕石の水素含有量および重水素/水素(D/H)比を測定し、ECが以前仮定されていたよりはるかに多くの水素を貯えていることを発見した。今回の著者らは、コンドライトのような物質の混合が関係した地球形成のモデル化を含む分析の後、ECのような物質が地球の初期形成時に合体した場合、成長しつつある原始地球に十分な水素を供給して、地球の現在の海にある水量の少なくとも3倍の水を提供することができた可能性があると推定している。今回分析されたECのD/H比および窒素同位体組成は地球のマントルのものと非常に似通っており、地球の水の起源は地球が形成された岩石の中にあるとのPianiらの主張が裏付けられている。「Pianiらの研究によって、このパズルにとって非常に重要でエレガントな要素がもたらされた。地球の水はそこから地球が融合した星雲物質に単に由来していた可能性がある。」とAnne H. Peslierは関連するPerspectiveで述べている。今回の著者たちは物質の供給時期を正確に決定することができないと指摘しているが、地球形成時の十分に遅い時期であるに違いない。

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