News Release

集団性渋滞の制御:交通の流れについてアリから学べること

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

アリが狭い地下トンネルを掘る様子を観察することで、限られた環境や混雑した環境で交通の流れを最適に調整する方法に関して、新たな見識が得られたという。アリの場合、怠惰や後退が最適な掘削へとつながり、混雑や、流れを止めるような渋滞が減少する、と研究者らは報告している。この研究結果から、仕事志向型生物の大集団が、限られた空間内をより効率的に移動する方法が明らかになった。人間を乗せた自動車が限られた4車線の高速道路を走る状況は、物の集団の流れが厄介な塊を形成する代表例である。その結果として、システム中の動きが遅くなり、場合によっては止まることさえある。アリのような社会性昆虫は、規則的な流れを必要とする仕事(狭いトンネルを掘るなど)を日常的に行っているが、どういうわけか流れを止めるような渋滞を形成することはめったにない。仕事志向型のアクティブマター・システムが有害な塊を回避する仕組みについて理解を深めるため、Jeffrey Aguilarらはヒアリが掘削を行う際に個々のアリの動きを観察した。Aguilarらは、働きが悪かったり(怠惰)、掘ったトンネルから巣の出口まで何も持たずに移動したり(「逆戻り」という動き)といった特定の行動によって、渋滞の広がりと深刻さが減少することを突き止めた。それ以外に渋滞を回避するのに重要だったのは、仕事の不均等配分であり、一定の割合のアリが大部分の労働を行っていたという。セルオートマトン(CA)掘削モデルを用いて、著者らはこれらの行動が掘削作業に及ぼすプラス効果を確かめた。次にAguilarらは、こうした概念を掘削ロボットに適用し、ロボット物理学モデルにおける交通の改善にこの行動が使えるかどうか確認した。ロボットはおそらく動きが制限されているせいで、アリやCAモデルに比べて働きが悪いが、関連する分析の結果から、密集した集団がまごつかずに「仕事可能」になる方法が示唆された。Aguilarの研究チームが突き止めた方法は、災害時の瓦礫除去を担うロボット群や、血流中を駆け巡るナノロボットなど、将来の工学的システムの動きを改善するうえで重要になるだろうと、著者らは述べている。

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