News Release

火星に湖が長期間にわたり存在したことの証拠

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

このニュースリリースには、英語で提供されています。

キュリオシティ火星探査車からの新たなデータによると、かつて、火星のゲールクレーターには、三角州および湖といった水系が過渡的に存在し、その景観の主要な要素であったことが示された。この地域の歴史に関する従前の理論は遠方からの観測に基づいていたが、キュリオシティからのその場観測により、大型衝突クレーターによってかなりの期間にわたり、水の収集および蓄積が可能になったとの仮説について、研究者が直接試験することが可能になりつつある。キュリオシティ火星探査車によって、軌道からは観測されなかった複数のクリノフォーム(湖盆表面)がゲールクレーター内で発見された。John Grotzingerらは、これらクリノフォームに沿って堆積物を分析し、これら湖盆表面が時間の経過とともに上昇したことに気付いた。これら観測結果とゲールクレーター周縁の浸食に関する計算結果とを組み合わると、過去に埋積作用(堆積物の堆積によって引き起こされる土地の高さの上昇)の発生したことが示唆された。ゲールクレーターの北方にあるクレーター壁および周縁が侵食されて礫岩および砂が生成され、浅瀬で南方に輸送された。時間の経過とともに、これら浅瀬による堆積物はゲールクレーターの内側に移動し、下流ではより細かな微粒子になった。これらの三角州は、過去に存在した湖の境界であり、最も細かな(泥の粒度の)堆積物が堆積した。Grotzingerらによる分析によって、水の存在は過渡的であった可能性が高いが、この地域において過去に存在した個々の湖は、100年から10,000年にわたって安定的に存在しており、生命を育むのに十分に長い期間であった可能性のあることが示唆された。キュリオシティが調査した地域は、10,000年から10,000,000年かけて堆積したと考えられ、過渡的に存在した湖は、共通の地下水面によって、一定期間にわたり水の供給されていた可能性のあることが示唆された。さらに、長期間にわたる風化作用によって、ゲールクレーターの堆積物が移動し、シャープ山の形成されたことが証拠によって示唆された。これらの新たなデータによって、火星の過去における水分布、気候および生命存在の可能性について、過去とは比べものにならないほど知見が得られた。Marjorie Chanによる展望が寄稿されており、本論文を補完している。

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Article #7: "Deposition, exhumation, and paleoclimate of an ancient lake deposit, Gale crater, Mars," by J.P. Grotzinger; K. Siebach; K.M. Stack; A.R. Vasavada; F. Calef III; W.F. Fischer; J. Griffes; M.P. Lamb; M. Palucis; D. Blaney; J. Crisp; M. Mischna; T.J. Parker at California Institute of Technology in Pasadena, CA; S. Gupta at Imperial College London in London, UK; M.C. Malin; K.S. Edgett; M.J. McBride at Malin Space Science Systems in San Diego, CA; D.M. Rubin at University of California, Santa Cruz in Santa Cruz, CA. For a complete list of authors, see the manuscript.


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