News Release

飲料水の安全に殺菌消毒剤は必要か

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

安全な飲料水を供給するための残留性のある殺菌消毒剤の使用について、一部の西ヨーロッパ諸国とアメリカの間で見解の相違が出てきている。どちらが正しいのか。今回のPerspectiveでFernando Rosario-Ortizらが様々な比較を行っている。アメリカを初めとする多数の国は、微生物汚染を回避するためには飲料水に残留性殺菌消毒剤を入れる必要があるとしている。しかしRosario-Ortizらによると、殺菌消毒剤が含まれていることによって、発癌性副産物が形成される、腐食する、味が低下するといった問題が起こる可能性があるという。その上、残留性殺菌消毒剤が飲料水の関与する疾病の発生を防ぐという直接的証拠はほぼない。近年のオランダ、イギリス、アメリカにおける水媒介性疾病の発生を比較したところ、オランダでは残留性殺菌消毒剤を使用していないにもかかわらず、そういった疾病のリスクが最も低いことが判明した。オランダは比較的最近に送水管の半分以上を交換したが、アメリカとイギリスはパイプの年齢として、「使用期限を越えた」パイプで構成される水道システムで飲料水を供給しており、漏れや減圧による細菌汚染の可能性が上がるとRosario-Ortizらは述べている。これはオランダでは6%という低さであるのに対して、イギリスでは25%、アメリカでは16%という各国間の漏出量の違いを説明できると考えられる。比較データがさらに必要ではあるが、今までの欧州諸国のエビデンスにより、適切なインフラが整っている限り、安全な飲料水は実際に残留性殺菌消毒剤なしで供給できることが示された。

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