News Release

巨大ヘリウム資源の発見「MRI断層撮影装置供給への将来的な安全保障」

Peer-Reviewed Publication

Goldschmidt Conference

Helium Gas Bubbling from Pool

image: Tom Abraham-James (Founder and CEO of Helium One) is collecting helium gas from a natural water and gas seep near Lake Eyasi, Tanzania, November, 2015. Bubbles just in view in the 'puddle' contain up to 10 percent helium. view more 

Credit: Pete Barry 2015

研究者らはタンザニア大地溝帯(Tanzanian Rift Valley)で、火山に関連した世界最大規模のヘリウムガス田を発見するための科学的手法の開発を行ってきた。これまでヘリウムガス田は「偶然」発見されてきた。今回は、科学的な手法で巨大ヘリウムガス田を発見した最初の事例となる。この手法により更なる大規模ガス田の発見が期待できる。この研究成果はゴールドシュミット横浜会議にて発表される。

ヘリウムはMRIなどの医療や核エネルギー利用、また、欧州合同原子核研究所の大型ハドロン衝突型加速器といった最先端技術に必要不可欠のガスである。ヘリウムは希少資源なので、中長期的な安定供給への不安が生じており、過度な開発が危惧されている。これを受け、2015年、イギリス医師会(British Medical Association)は、ヘリウム供給の規制に言及し、その懸念を表明した。

(https://www.bma.org.uk/connecting-doctors/b/work/posts/mri-scanners-or-balloons-the-helium-debate-takes-off)

現在、Chris Ballentine教授とJon Gluyas教授の率いるオックスフォードとダラム大学のチームは、タンザニアで巨大ヘリウム資源の発掘を支援するヘリウム開発会社「Helium-One」でともに働いている。

チームは石油探査で使われる手法、例えば母岩の特性、原油の移動過程や貯留機構の検討、をヘリウム探査に応用した。その結果、火山がヘリウムガスの集積に重要な役割を果たすという決定的な発見をした。すなわち、火山周辺域がヘリウム探査の鍵であることを見出した。

ダラム大学の研究者、Diveena Danabalanによると、

「我々は地溝帯の火山が、ヘリウム貯留層の形成に重要な役割を果たすことを示すことが出来た。火山は大陸地殻に含まれるヘリウムの集積に必要な熱を提供する一方で、不要な火山ガス(主に二酸化炭素)も供給している。火山に近すぎるとヘリウムは二酸化炭素で希釈されてしまう。ヘリウム集積に最適な場所が存在する。」

オックスフォード大学のChris Ballentineは付け加えて、

「ヘリウムの地球化学的理解と地震波によるガス貯留構造から大地溝帯のたった一カ所のみで540億立方フィート(15.3億立方m)の推定埋蔵量を算出した。これはオリンピック用のプール(長さ50mのプール)600,000杯分に相当する。また、世界中で毎年消費されるヘリウムのおおよそ7倍に相当し、液体ヘリウムに換算すると、120万台の医療用MRIを満たすことができる。」 2015年、同研究グループのメンバーは、技術開発のなかで巨大なヘリウム資源がロッキー山脈にもあることを推定した。

「我々は技術を確立した。そして、より大きなヘリウムガス田の発見を期待している。」Chris Ballentineは続ける、「これは、将来のヘリウム需給の安全保障に役立つだろう。」

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問い合わせ先 :

Professor Christopher Ballentine chris.ballentine@earth.ox.ac.uk
Dr Pete Barry (Tanzania lead) peter.barry@earth.ox.ac.uk
Goldschmidt Press Officer(日本語対応可): press@goldschmidt.info


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