宇宙空間で微量の60Fe が検出され、過去数百万年以内に地球近傍で超新星の出現したことが示唆された。鉄同位体である60Fe は、大質量星が超新星という形態で崩壊した時に生成されるため、非常に珍しい。以前の報告では、過去に地表面および月面に堆積した60Fe鉄同位体の試料が分析されたこともあるが、Walter Binnsらによって報告された60Fe は宇宙空間で検出されており、地球近傍の超新星の成分が現在でも地球に降り注いでいることが明らかになった。この60Fe は、NASAのACE（Advanced Composition Explorer）探査機に搭載された宇宙線同位体分光計（CRIS）を使用して検出された。ACEは現在、地球と太陽の間の軌道を周回している。約17年にわたって収集されたデータによって、これらの珍しい原子核が15件検出された。60Fe は放射能を有し、半減期が260万年であるため、これらの原子核は、過去数百万年以内に相対的に地球近傍の超新星で生成されたものに違いない。これらの原子核が生成された時点とこれらの原子核が加速された時点の間に遅延があり、少なくとももう1つの超新星が近傍に存在し、この加速に寄与したことが示唆されることを著者らは指摘している。2つ以上の超新星が出現したことから、CRISによって検出された60Feは、さそり-ケンタウルス運動星団の複数の大質量星から来た可能性が最も高いと著者らは提唱している。
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