News Release

ホッキョクグマの代謝は夏季の解氷に思ったより適応していない

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

Researchers Inspect Temperature Logger

image: University of Wyoming researchers John Whiteman and Merav Ben-David inspect a temperature logger implantation site on a polar bear on off-shore sea ice north of Prudhoe Bay, Alaska, in April 2009. view more 

Credit: [Credit: Mike Lockhart]

このニュースリリースには、英語で提供されています。

夏季の解氷期間中、ホッキョクグマは採餌機会が限られる。新しい研究によって、その期間のホッキョクグマのエネルギー消費量が少しは抑えられるものの、解氷に伴う食糧不足を埋め合わせるほどではないことが示された。この研究は、海氷の消失が進むと、肉食性動物であるホッキョクグマが多大な脅威にさらされることを示唆している。ホッキョクグマは氷床の表面を歩きながら食べ物を探す。夏には氷が解けて狩りができる範囲が狭くなるので、ホッキョクグマは食べ物がさほど豊富でない海岸に上陸し、食べ物をあさる。一部の科学者は、上陸を強いられたホッキョクグマは「歩く冬眠」という低エネルギー状態になることで埋め合わせることができるので、この戦略のおかげで、気候変動によって氷上での採餌機会が減っても生き延びられるだろうと示唆している。しかし、最近の研究では、ホッキョクグマは実は暑い時期にも普段の代謝と同じく、かなりのエネルギーを消費していることが示唆されている。代謝率が夏にどの程度低下するかを調べるため、John WhitemanらはホッキョクグマにGPS首輪を装着するとともに外科的に自動記録装置を埋め込んで、氷上および陸上における夏季の行動と中核体温とを継続的にモニターした。どちらの生息場所でも、体温と活動レベルは、活発に狩猟や採餌をしているときよりは低かったが、エネルギーを節約している冬眠時ほどは低くなかった。むしろ、観測された低下の度合いは空腹時の哺乳動物に酷似しており、その反応はエネルギーをそれほど節約しないものだった。この研究から、ホッキョクグマは食べ物が豊富でない時期に代謝率を低下させることによって、蓄えた脂肪に頼る期間を引き伸ばすようなことはできないことが示唆された。したがって、海氷の減少に対応するためにホッキョクグマが選択できる代謝の方法は限られていると、著者らは述べている。

###

Article #12: "Summer declines in activity and body temperature offer polar bears limited energy savings," by J.P. Whiteman; H.J. Harlow; R. Anderson-Sprecher; S.E. Albeke; M. Ben-David at University of Wyoming in Laramie, WY; G.M. Durner at U.S. Geological Survey in Anchorage, AK; E.V. Regehr at U.S. Fish and Wildlife Service in Anchorage, AK; S.C. Amstrup at Polar Bears International in Bozeman, MT.


Disclaimer: AAAS and EurekAlert! are not responsible for the accuracy of news releases posted to EurekAlert! by contributing institutions or for the use of any information through the EurekAlert system.