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「グリーンナッジ」により、中国のフードデリバリー業界で使い捨てカトラリーのゴミが激減

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

中国の主要10都市を対象とした新しい研究によると、フードデリバリーアプリでの注文で「カトラリー不要」の選択肢をデフォルトとし、プラスチック食器不要を選択した利用者に報酬を与えることで、使い捨てカトラリーのゴミが大幅に減ったという。これらの「グリーンナッジ」で、中国第2位のフードデリバリーサービスへの注文で環境に配慮したものの割合は648%増加した。この結果は、そういったナッジ ―― 環境配慮行動の促進を目的とする小さな取組み ―― の導入は、成長するオンラインフードデリバリー業界における不要な使い捨てカトラリー(SUC)のゴミを削減するためのコスト効率の高い政策手段であることを示している。近年、特にCOVID-19パンデミック以降、フードデリバリーサービスの利用が増え、その結果、SUCから出るプラスチックゴミが急増している。このゴミの削減は中国にとって特に重要である。中国は世界最大のSUC生産及び消費国で、1日当たり5,000万セットを超えるSUCを消費しながらも、それらを適切に処分していない。これではプラスチックゴミを大量に出すのみならず、箸やナプキンを捨てることで原料である樹木を大量浪費することにもなる。中国の政策立案者は、2025年までにフードデリバリーにおけるSUCの使用を30%削減するという目標を設定しており、オンラインフードデリバリープラットフォームはその目標達成に向けた計画を立てなければならない。Guojun Heらは、Alibaba傘下のオンライン食品注文プラットフォームEleme ―― Uber Eats やDoorDashと同様のフードデリバリーサービスで、利用者は75,300万を超える ―― と協力し、同社のモバイルアプリに追加した介入の有効性を評価した。そのアプリでは、グリーンナッジのコンセプトを活用し、デフォルトを「カトラリー不要」に変更するとともに、利用者に注文とともにSUCのセット数を明確に選択してもらうようにした。さらに、SUC不要を選択した利用者には「グリーンポイント」も付与した。このポイントと引き換えに、中国で実際に木を植えることができる。Heらは、中国主要10都市の無作為抽出した利用者197,062人の2019年から2021年の食品注文履歴から得た詳細な利用者レベルのデータを使用して、これらのグリーンナッジのおかげでSUCの消費が大幅に減少したことを発見した。その結果によると、カトラリー不要での注文の割合は648%増加したという。中国全土に適用されると、そういった介入によって、Alibaba傘下若しくは個々のレストランの業績や収益を損なうことなく、年間210億7,500万セットを超えるSUCを節約でき、それによって326万トンのプラスチックゴミが削減できるとともに、544万本の樹木の消費も抑えられる。


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