News Release

紹介:超音波に基づく3Dプリント ―― 体内で材料を印刷できる可能性も

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新たな3次元(3D)プリントのアプローチは、超音波を用いて音硬化性インクからオブジェクトを生成するものだ。このアプローチにより、不透明な媒体や物体の深部でも3Dボリュームプリンティングが可能になり、体内での3Dプリントも可能になるかもしれない。3Dプリント技術は、幅広い用途があり、製造プロセスに大変革をもたらそうとしている。新たな3Dプリント技術であるボリュームプリンティングは、層ごとにオブジェクトを構築するプリント技術よりも高速で、より表面の質の高いオブジェクトを構築できる。既存のボリュームプリンティング技術はほとんどが光に依存しており、光が光学的に透明なインクの光重合を開始させる。しかし、光を深部まで透過させる必要がある構造では特に、インク自体による光の散乱、インク内の機能性添加物の存在、構築物のすでに硬化している部分による遮光により、材料の選択肢や作製可能なオブジェクトサイズが制限される。光波と比べて超音波は、物質のさらに深部まで透過でき、原理上は重合開始に使用できる。今回、Xiao Kuangらは、集束超音波と「ソノインク(sono-ink)」を用いる、深部透過音波ボリュームプリンティング(DAVP:deep-penetrating acoustic volumetric printing)という新たなボリュームプリンティングのアプローチを紹介している。著者らの開発したソノインクは、熱応答性の適応型吸音材を用いて、熱による重合を開始しながら同時に流動を防ぐ粘性ゲルを形成することによって、音波ボリュームプリンティングの主要な課題を克服している。試験においてDAVPは、不透明な媒体の深さ数センチメートルの位置に、さまざまなナノ複合材料からミリメートルスケールでオブジェクトを素早く印刷することができた。概念実証としてKuangらは、組織を通り抜けて高速で高精細に作製する低侵襲の医療にDAVPを適用した。ソノインクを注入したex vivo組織の実験で、著者らはin situの人工骨および左心耳閉鎖の形成を実証した。関連するPerspectiveでは、Yuxing YaoとMikhail ShapiroがDAVPのアプローチと限界について、および低侵襲の医療処置などの潜在的な用途について論じている。YaoとShapiroは、「将来はランニングシューズが、骨の修復に使われるのと同じ音波プリント技術で印刷されることもあり得る」と述べている。


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