News Release

油と肉を目的とした漁で深海性のサメとエイが減少

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

肝油と肉の国際的な商取引によって、深海性のサメとエイが急激に減少している。サメとエイは生活史が極めて長いため、この状況は元に戻せない可能性がある。今回の研究結果から、早急に商取引および漁業の規制を設ける必要性が浮き彫りになった。地球上で最大かつ最も複雑な生態系のひとつである深海は、多様な生物にとって人間の活動が及ばない自然界最後の避難場所と考えられている。また、深海は地球上で最も研究が進んでいない環境のひとつでもある。そのため、深海における生物多様性の状況については包括的な評価が行われていない。世界の海の30%を保全するという国際的な目標が掲げられたにもかかわらず、地球規模での保全目標の設定・監視の指針となる政策関連指標は存在しない。この必要性に対処するため、Brittany Finucciらは深海性のサメとエイについて、地球規模における生物多様性変化の指標、状況、脅威を算出した。Finucciらは、このグループ(深海性のサメとエイ521種を含む)に対する最も包括的な評価を用いることで、人間が利用している他の海洋脊椎動物と比較した場合のこれらの種の感受性を推定し、相対的な個体数の傾向を分析し、そして地球規模の絶滅リスクとその根底にある利用と商取引のパターンを評価した。その結果、深海性のサメとエイは、乱獲に対する感受性が海洋脊椎動物のなかで特に高いことが明らかになった。著者らの研究結果によると、絶滅のおそれがある深海性サメの3分の1が漁業の対象となっており、肝油の国際的商取引の対象となっている種のうち半数は絶滅の危機に瀕しているという。こうした人間の活動が急激な個体数減少を引き起こしているが、これらの種に特有の長い生活史、長い寿命、そして非常に低い生殖生産性を考えると、この状況を逆転させるのは容易ではない。さらに、こうした種の多くが現行の管理戦略では保護されていない。Finucciらは、国際的な商取引規制および漁業規制の実施と並行して、世界規模における漁業活動の水深制限と禁漁区の拡大を行えば、こうした種の多くに対して保護を強化できると説明している。

 

この論文にご興味のある記者の方へ:11月12日のScienceに掲載されたWormらによる論文では、無駄なサメ漁を減らすために広範に規制が実施されたにもかかわらず、サメに対する乱獲が続いていることが明らかになった。(https://www.science.org/doi/10.1126/science.adf8984


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