米国における部族のクリーンエネルギーの増加

新たな米国連邦法では、連邦政府が認めている574の先住民の自治区と村のために約140億ドルが確保される。これらの資金は、先住民の気候変動適応とエネルギー主権を支援するために使用できる。Policy ForumでKimberly Yazzieらは、再生可能エネルギーへの移行を促進しながら関係する先住民の利益にもなるような、プロジェクトや人々の計画、実施、資金援助に向けたロードマップを提示している。著者らによれば、この機会によって先住民コミュニティは、何十年にもわたり被ってきたエネルギー困窮、経済的困窮、不公平を正すために、自らの経済とエネルギープロジェクトは自分たちのやり方で開発するという立場に置かれる。2021年のインフラ投資・雇用法（Infrastructure Investment and Jobs Act）および2022年のインフレ抑制法（Inflation Reduction Act）は、部族の再生可能エネルギー拡大にかつてないほどの機会をもたらしているが、先住民グループがこれらの資金を利用しようとするといくつもの障壁に直面する。今回、Yaszzieらは、これらの課題について考察し、先住民パートナーシップを含む資金援助の機会を改善しうる方策をいくつか提案している。これらには、連邦政府の資金援助プログラムおよび融資における期限をより柔軟にすることや、クリーンエネルギープロジェクトに対して技術支援を提供すること、部族のエネルギープロジェクトによる取り組みが継続的に実行されるよう支援すること（労働力開発など）といった方策が含まれる。「実施にあたっては、政府機関プログラム全体に公正さを組み込むことで歴史的不公平が再び生み出されることなく部族に富がもたらされるよう、監視する必要がある。われわれが取り上げている問題やわれわれが行なっている提言は、至極当然のものなのだが、これらには大胆な行動が必要だ」と著者らは述べている。