Feature Story | 29-Apr-2025

OIST Innovation Accelerator に新たなスタートアップが参画

拡大する沖縄のスタートアップエコシステムにディープテックの4つの新星が加わります。

Okinawa Institute of Science and Technology (OIST) Graduate University

沖縄科学技術大学院大学(OIST)は、スタートアップ支援プログラム「OIST Innovation Accelerator」の第8期に参加する4チームを選定しました。選ばれたのは、革新的な技術で社会課題の解決を目指す初期段階のディープテック系スタートアップです。参加チームは、資金援助や個別メンタリングを受けながら、OISTの最先端の研究施設やスタートアップ支援サービスを活用し、沖縄から世界へと挑戦を広げていきます。

選抜された以下4チームのスタートアップは、今後10か月間にわたりOISTを拠点に活動します。技術のブラッシュアップに加え、パートナー企業や顧客の開拓、日本国内およびグローバル市場への展開に向けた準備を進めていきます。

CancerFree Biotech (キャンサーフリー・バイオテック)
創業者であり最高経営責任者のPo-Han Chenさんが率いるチームは、液体生検由来の「オルガノイド(人工的な環境で作られた臓器や組織)」を活用し、個別化された薬剤テストを可能とすることで治療薬の開発を進めています。この技術により、腫瘍専門医はより高い精度で治療を行うことができ、副作用の軽減や患者の治療効果の向上が期待されます。

Perseptive (パーセプティブ)
創業者のSara Taghavi Motlaghさんが率いるこのチームは、大規模災害発生時における通信サービス継続を確保するための高度な動的ネットワーク管理システムを開発しています。この技術により、ネットワークインフラのレジリエンス(回復力)が高まり、非常時でも安定したサービスの継続が可能になります。

Strout Inc. (ストラウト)
創業者の平林馨さんとチームは、伝統的な養殖技術に次世代技術を融合することで、水産養殖分野に革新をもたらすことを目指しています。同社のプラットフォームは陸上養殖のデジタル化を実現し、魚の健康状態の改善や環境変化の予測を可能にするとともに、生産者がリアルタイムでデータに基づく意思決定を行えるよう支援します。

Tlaloc Blue (トラロク・ブルー)
創業者のKarim Honeinさんとチームは、AIを活用した垂直統合型エコシステムによって、生ごみなどの有機廃棄物の課題に取り組んでいます。このシステムは、廃棄物を持続可能なタンパク質源や栄養価の高い堆肥、さらにはカーボンクレジットといった高付加価値の資源へとアップサイクルします。

OIST Innovation Accelerator について

2018年度に沖縄県の支援によって開始したOIST Innovation Acceleratorは、起業家の育成、短期集中型ブートキャンプ、そして長期的なスタートアップ支援を組み合わせたプログラムで、2024年からは国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が実施する「競争の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」の支援により規模を拡大しました。選ばれたチームには、最大1000万円の助成金、個別メンタリング、投資家とのマッチング、OISTの最先端設備や施設の利用権が提供されます。このプログラムは、インパクトのある科学技術を社会に届けることに情熱をもち、沖縄で企業を立ち上げ事業成長を目指す起業家たちを支援しています。 これまでに、EF Polymer株式会社、HerLifeLab株式会社、GenomeMiner、Sage Sentinel、Exsure、Circular Powder、Veritus、Astrek Innovationsなど、多くのスタートアップが本事業を卒業し、民間からの資金調達に成功、さらに自社製品を世界市場で展開しています。

テーマは「OKINAWA SANDBOX」と「バイオコンバージェンス」

OIST Innovation Acceleratorには、以下の2つのテーマがあります。

OKINAWA SANDBOX (沖縄県による支援): テクノロジーと地域社会の連携を通して、沖縄が抱える経済・社会・環境課題の解決に取り組むスタートアップを支援します。

バイオコンバージェンス(COI-NEXTによる支援): 「ワンワールド・ワンヘルス(One World-One Health)」の理念に基づき、人類と地球環境の健康に持続的な解決策をもたらすスタートアップを後押しします。

今年は、29か国から82件の応募があり、厳正な3段階の審査を経て、25チームがオンラインの起業家コースに参加。そこから選ばれた12チームが沖縄で2週間のブートキャンプに参加しました。プログラムの締めくくりとして、学術界・産業界・ベンチャーキャピタルの専門家による審査のもとライブピッチコンテストが開催されました。 

OIST首席副学長(イノベーション及びアウトリーチ担当)のギル・グラノットマイヤーは、次のように述べています。「OISTは、OIST Innovation Acceleratorおよび着実に増加しているOISTのスタートアップ企業と共に、成長を続ける沖縄のイノベーション・エコシステムを牽引していることを誇りに思います。日本政府、沖縄県、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) のCOI-NEXTプログラム、そして経済産業省の継続的なご支援に心から感謝申し上げます。今年選ばれたチームは、私たちがぜひ成長を支援していきたいと思わせてくれた、大胆で目的意識の高い、イノベーションを体現するようなメンバーです。地域に根差しつつ、グローバルに展開可能なディープテック・ソリューションを提供してくれると期待をしています。」

2025年春にOIST Innovationの新しいインキュベーター施設がオープンしますが、今回選ばれた4チームはその新施設に入居する最初の採択チームとなります。このインキュベーター施設は、共有オフィスやラボスペース、最先端の設備を完備し、スタートアップ企業、研究者、業界パートナー間のコラボレーションを促進する環境を提供します。また、OISTとのコラボレーションを希望するスタートアップ企業はもちろん、既存の企業にもご利用いただけます。

OIST Innovation Accelerator プログラムの詳細はこちらをご覧ください。 https://www.oist.jp/ja/innovation/accelerator-startup-support-innovation

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