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培養肉の「味成分」は熟成で増加――分化と熟成がもたらす遊離アミノ酸変化を解明し、味制御へ――

Peer-Reviewed Publication

Institute of Industrial Science, The University of Tokyo

培養肉の「味成分」は熟成で増加――分化と熟成がもたらす遊離アミノ酸変化を解明し、味制御へ――

image: 分化の過程と熟成の過程では、タンパク質と遊離アミノ酸量は逆の挙動を示す view more 

Credit: 東京大学 生産技術研究所

東京大学 生産技術研究所 竹内 昌治 特任教授(本務:同大学大学院情報理工学系研究科 教授)と、同大学大学院工学系研究科 古橋 麻衣 大学院生らによる研究グループは、分化と熟成という工程が、培養筋細胞や培養筋組織の遊離アミノ酸(FAAs)の量や組成を変動させ、熟成が培養肉のFAAs量を大幅に高めることを明らかにしました。

本研究は、培養肉における風味の重要な指標であるFAAsに着目し、それが分化と熟成というプロセスによってどう変化するかを初めて詳細に解析しました。従来の研究がタンパク質由来のアミノ酸組成に焦点を当てていたのに対し、本研究ではLC-TOFMSによる微量測定技術を活用してFAAsの動態を精密に捉えた点で新規性があります。さらに、培養条件の工夫(培地のFAAs濃度変更)によって細胞内のFAAs濃度が変化することを明らかにし、培養肉のFAAs組成を培養条件によって操作できる可能性を示しました。

本成果は、培養肉の味を構成する分子レベルの知見を提供し、今後の味が制御された培養肉の開発に貢献します。培養肉の市場受容性を高めるためには、風味の科学的評価が不可欠です。本研究はその基礎的評価指標のひとつとしてFAAs解析を行い、風味設計に向けた培養制御の道を拓きました。


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