Cheng Lyuは、発達過程で神経回路がどのようにして驚くべき精度で組み立てられるかを理解した研究により、2025年Eppendorf & Science Prize for Neurobiologyを受賞した。神経回路の構築は困難な課題である。若いニューロンは、何十億ものニューロンの中から正しいシナプスパートナーと特異的な結合を形成しなければならない。発達中の脳はどのようにしてこのような精巧な精度を達成しているのだろうか。失敗したらどうなるのだろうか。この謎を解明するため、Cheng Lyuらはショウジョウバエ(Drosophila)に着目した。ショウジョウバエの嗅覚系は単純だが洗練されたモデルであり、わずか50種類の感覚ニューロンがそれぞれ50個の対応するパートナーニューロンと1対1で結合している。神経細胞の発生過程を追跡できる新しい遺伝的ツールを用いて、Lyuらは、この複雑な3次元配線の問題が一時的に単純化されることを発見した。パートナー選択がまずは2次元表面で起こり、次に固定された1次元の軌跡に沿って起こることを見出したのである。各軸索は、運命の相手の樹状突起と交差する遺伝的にあらかじめプログラムされた経路をたどることで、探索領域を劇的に狭める。実験的に軸索を正常な経路から迂回させると、パートナーのニューロンが適切に結合できなくなり、これらの空間的軌道がどのようにマッチングを制御しているかが示された。
Lyuらは、単一細胞RNAシーケンシングと遺伝子スクリーニングを利用して、ニューロン型間の誘引と反発を媒介する重要な表面タンパク質を同定した。これらのうちわずか5種類のタンパク質の組み合わせを操作しただけで、ニューロンを新たなパートナーと接続するように再配線することに成功し、脳の配線図を効率的に書き換えることができた。この改変された再配線は、神経活動だけでなく行動も変化させた。「われわれの研究は、発達中の脳におけるシナプス特異性が、組み合わさって作用する少数の細胞表面タンパク質によって決定されていることを示している」とLyuは述べている。「これらの要素のごく一部を微調整することで、神経と行動の両方のパートナーを再特定できた。これにより、回路配線の変化が神経発達障害にどのように寄与するか、また同様の原理が種間の脳回路の進化をどのように形成したかを探求するための扉が開かれた」。
最終選考に残ったのは、エッセイ「白質病変の発生: ミエリンというレンズを通してアルツハイマー病を再考する」の著者Constanze Deppとエッセイ「恐怖は、そうでなくなるまで保護する」の著者Sara Mederosであった。
Journal
Science
Article Title
Respecifying partners
Article Publication Date
30-Oct-2025
 
                