News Release

糖鎖合成酵素がタンパク質を選ぶ仕組みを解明〜がん関連糖鎖の制御への応用に道〜

The selectivity of a cancer-related glycosylation enzyme, N-acetylglucosaminyltransferase-V (GnT-V), might be able to be mediated by the addition of carbohydrates onto the target proteins.

Peer-Reviewed Publication

Institute for Glyco-core Research (iGCORE), Tokai National Higher Education and Research System

image: 

Selective modification of substrate by GnT-V in polarized kidney tissue in mice

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Credit: Yasuhiko Kizuka, Institute for Glyco-core Research (iGCORE), Gifu Univeristy

【本研究のポイント】

  • GnT-Vは、がんの悪性化や自己免疫疾患に関わる糖鎖を作る酵素で、特定のタンパク質に糖鎖を付けることがわかっています。
  • GnT-Vは、腎臓において、尿細管の内側にある2つのタンパク質を選んで糖鎖を作ることがわかりました。
  • GnT-Vによるタンパク質への糖鎖の付加には、タンパク質の立体構造や細胞内を通る経路が重要であることがわかりました。

【研究概要】

 岐阜大学糖鎖生命コア研究所の木塚康彦教授、連合農学研究科博士課程3年の大須賀玲奈さんらの研究グループは、大阪大学、広島大学、熊本大学、藤田医科大学との共同研究で、がん関連糖鎖を作る酵素GnT-Vが、生体内で糖鎖を付けるタンパク質を選ぶ仕組みを解明しました。
 タンパク質に付く糖鎖には膨大な種類が存在しており、その形はタンパク質によって異なります。これら糖鎖は、細胞の中で様々な糖鎖合成酵素の働きによって作られ、多くの重要な役割を担っています。また、これら酵素の働きが異常となって特定の糖鎖が増減すると、様々な疾患を引き起こすことも報告されています。一方で、個々の糖鎖合成酵素が、タンパク質を選んで糖鎖を作る仕組みはよくわかっていませんでした。
 本研究では、がんや自己免疫疾患に関わる糖鎖を作る酵素、GnT-V(MGAT5とも呼ばれる)、に着目し、マウスの腎臓を用いて、生体内で本酵素がどのように糖鎖を付けるタンパク質を選んでいるかを調べました。その結果、GnT-Vは、腎臓の尿細管の内側に存在する2つのタンパク質のにおいて、特定の部位に糖鎖を付けることがわかりました。さらにこれは、2つのタンパク質が細胞の中を通る経路や、タンパク質の立体構造によって決まることを明らかにしました。以上の成果は、体の中で複雑な糖鎖が作られる仕組みの解明と、GnT-Vが関わるがんや自己免疫疾患の病態解明へつながることが期待されます。
 本研究成果は、現地時間2025年10月28日にiScience誌のオンライン版で発表されました。

【研究の詳細】

https://www.gifu-u.ac.jp/news/research/uploads/20251031press01.pdf

 


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