image: 水素の量子トンネル効果 view more
Credit: 東京大学 生産技術研究所
東京大学 生産技術研究所の小澤 孝拓 助教と福谷 克之 教授、同大学大学院理学系研究科の一杉 太郎 教授(兼:東京科学大学 物質理工学院 特任教授)と清水 亮太 准教授(研究当時、現:分子科学研究所教授)、筑波大学 数理物質系の原山 勲 研究員(研究当時、現:日本原子力研究開発機構研究員)と関場 大一郎 講師らによる研究グループは、水素原子の量子トンネル効果による拡散の観測に成功しました。
質量の小さい水素は、量子的な性質を最も顕著に示す原子です。しかし水素は直接観測することが最も難しい原子としても知られ、特に拡散における量子的な振る舞いはほとんど解明されていませんでした。本研究では高速イオンビームを用いたチャネリング共鳴核反応法と電気伝導測定を融合することで、水素吸蔵金属パラジウム(Pd)中における水素原子の量子トンネルによる拡散の高精度な計測に成功しました。これによりその温度依存性の詳細なデータが得られ、伝導電子やフォノンの励起が水素の量子トンネルを促進することを実証しました。この研究成果は今後、原子の量子的挙動の理解や水素拡散の量子的制御技術の開発に役立つことが期待されます。
Journal
Science Advances
Article Title
Observation of proton tunneling correlated with phonons and electrons in Pd
Article Publication Date
21-Nov-2025