新種の海洋性ツボカビを発見

横浜国立大学 環境情報研究院の鏡味麻衣子教授、環境情報学府のNúria Pou-Solàさん（博士課程後期学生）らは、スペインの研究機関（Institut de Ciències del Mar）のチームとの国際共同研究で、地中海で発生する有害藻類 Ostreopsis cf. ovata に寄生する、これまで知られていなかった海洋性ツボカビ（寄生性真菌）を新たに発見し、「Algophthora mediterranea（アルゴフトラ・メディテラネア）」と命名しました。DNA解析によって海には多様な真菌が存在することが示されているものの、実際に寄生性真菌が単離され、その生活史や宿主特性が詳しく分かった例はごくわずかでした。

本研究で記載した新種は、渦鞭毛藻だけでなく珪藻にも寄生できる非常に広い宿主範囲を持つという、従来にない特徴が明らかになりました。この特性は、海洋環境におけるツボカビ類の生態的な柔軟性や適応力の強さを示しています。

今回の発見は、寄生性真菌が海洋生態系でどのような役割を果たしているのか、特に宿主特異性や生態的ニッチの分割、複数の寄生者間での相互作用を探る研究の新たな道を開きます。最終的には、これらの寄生性真菌が海洋の物質循環（生物地球化学サイクル）にどのように寄与しているのかを理解することが大きな目標です。

本研究成果は、2025年12月15日付でMycologia誌にオンライン掲載されました。