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生まれたての惑星たちはふわふわ

Peer-Reviewed Publication

National Institutes of Natural Sciences

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Artist’s impression of four orbiting exoplanets. Intense radiation from the host star may be heating their puffy atmospheres, causing atmospheric escape into space. (Credit: Astrobiology Center)

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Credit: Astrobiology Center

2025年末までに、6,000個を超える系外惑星(太陽以外の恒星を公転する惑星)が発見されています。これまでに発見された系外惑星の中で最も多いのは、地球よりやや大きいスーパーアース(地球の1〜2倍の大きさ)や海王星よりやや小さいサブネプチューン(地球の2〜4倍の大きさ)と呼ばれる小型の惑星たちです。こうした小型惑星は銀河系で最もありふれた「一般的な」惑星であると言えますが、それらが生まれたばかりの頃はどのような姿であったかはこれまでわかっていませんでした。

研究チームは、おうし座分子雲の中にある若い恒星「おうし座V1298星(V1298 Tau)」を公転する4つの惑星に着目しました。おうし座V1298星は質量が太陽とほぼ同じくらいですが、年齢は約2,000万年であり、生まれたての太陽のような恒星と言えます。おうし座V1298星には、2015年に行われたケプラー宇宙望遠鏡の観測データから4つのトランジット惑星が発見されていました。これまでこの4つの惑星の質量を測定しようという試みが視線速度法という方法によってなされてきましたが、若い恒星は表面の活発な磁場の活動によって惑星とは無関係の(しかも惑星由来よりも圧倒的に大きな)視線速度のシグナルが生じてしまうため、これまでに報告されてきた惑星の質量は全く正確ではないということが指摘されていました。

本研究で、研究チームは視線速度法に代わる惑星の質量の決定方法として、トランジットタイミング変動(Transit Timing Variation:TTV)法を採用しました。複数の惑星が公転する惑星系では、惑星同士が近づいた際にお互いの引力が影響を及ぼし合うため、トランジットのタイミングが一定の間隔からずれます。このタイミングのずれを調べることで、引力を及ぼしている惑星の質量を推定することができます。視線速度は恒星表面の活動の影響を大きく受けてしまいますが、トランジットのタイミングはその影響をほとんど受けないため、若い恒星を公転する惑星の質量を正確に決定することができます。

研究チームは、2015年にケプラー衛星で取得されていたトランジットのデータに加えて、2019年から2024年にかけて宇宙望遠鏡と地上望遠鏡による長期的なトランジットの追観測を遂行しました。地上望遠鏡では4つの惑星に対して計44回のトランジットの追観測が行われましたが、そのうち26回のトランジットはMuSCATチームによって観測されたもので、MuSCATチームが観測に主要な貢献を行いました。MuSCATチームのメンバーであるアストロバイオロジーセンター(国立天文台併任)のジョン・リビングストン特任助教(本研究の筆頭責任著者)および東京大学先進科学研究機構のジェローム・デレオン特任助教らは、追観測で得られたトランジットのデータをもとにトランジットタイミング変動を詳細に解析しました。

その結果、4つの惑星は地球と比べて半径が5〜10倍程度と巨大惑星のように見えるのに、質量はスーパーアースやサブネプチューンに相当する5〜15倍程度しかなく、非常に低密度のふわふわの惑星であることがわかりました。つまり、生まれたての巨大惑星のように見えていたのは、実際には大質量の巨大惑星ではなく、将来スーパーアースやサブネプチューンになる比較的小さな質量の惑星たちだったのです。つまり、銀河系で最も一般的な惑星である小型の惑星が、生まれたての時にはふわふわの惑星だったことが明らかになりました。

若い惑星は大きく膨らんでいて非常に低密度であるという理論的な仮説はありましたが、実際に生まれたての惑星の質量と半径を正確に測定して観測的に仮説が裏付けられたのはこれが初めてです。今回の観測成果は、生まれたばかりの小型の惑星はどのような姿であったかを明らかにしたという点で大きな意義があります。

この4つの惑星は現在内部の温度が下がるとともに大気の一部が宇宙空間に流出し、質量を失って、半径が収縮している最中にあると考えられます。これは若い惑星の質量や半径、大気に大きな変化が起きる「進化」の様子を見ていることに相当します。この4つの惑星に対しては、2021年に打ち上げられたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡での惑星大気の観測が進行中であり、大気の組成・性質やどのくらい流出しているのかといった知見が近い将来に得られると期待されています。今後のさらなる追観測は、惑星の進化の理論を観測によって検証し、より洗練させていく重要な研究となるでしょう。

さらに、太陽系を含む多様な惑星系たちがどのように形成するのかを明らかにしていくためには、おうし座V1298星系だけではなく、今後も新たな若いトランジット惑星を発見し、その惑星たちの性質を追観測によって調べ、惑星の進化の様子を解明していくことが不可欠です。そうした観測を進めるため、現在MuSCATチームは新たな若いトランジット惑星の発見やトランジットタイミング変動の長期的な観測を行うことを目的として、チリと南アフリカにある望遠鏡用に新しい観測装置の開発を進めています(科研費・基盤研究(S)・課題番号24H00017)。今後の若いトランジット惑星の研究により、惑星の進化がどのように進んでいくのか、そしてどのようにして多様な惑星系ができていくのかが明らかになると期待されます。


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