いまや人工知能(AI)で設計したタンパク質によって、進化が生み出してきたもの以上にCRISPRツールボックスを拡張することができる。新たな研究で、天然の酵素と同等かそれ以上の活性を有する人工RNA誘導型ヌクレアーゼの設計が報告されている。これは、構造に基づく設計により、いかにして実質的に様々な配列をもつ機能的なゲノム編集タンパク質を生成できるかを明らかにするものである。CRISPR-Cas技術によって、科学者らは正確に標的を定めてDNAとRNAを改変できるようになり、遺伝子工学の形は一変した。研究者らは現在、タンパク質設計法によって、天然で見られるものを超える新規な性質をもつ新たなRNA誘導型ヌクレアーゼを創出できるかどうかを探索している。しかしマルチドメインタンパク質は複雑で、わずかな変化で酵素活性が容易に損なわれうることから、これは依然として困難な課題である。AIモデルによる新たなヌクレアーゼの設計では成功が見られているものの、それらが生成するものは、モデル自体の訓練に使われた参照配列によく似たバージョンである場合が多い。今回Petr Skopintsevらが紹介しているタンパク質設計戦略では、ESM Inverse Folding(ESM-IF1)モデルと、進化情報に基づく残基制約を組み合わせて、極小のCRISPR-Cas12様ヌクレアーゼであるTnpBの新たなバリアント(SynTnpBと命名)を生成している。続いてSkopintsevらは、AIで設計したこれらのタンパク質について、細菌、植物およびヒトの細胞における活性に関してスクリーニングを行い、さらにクライオ電子顕微鏡(cryo-EM)を用いて最も変異の大きいバリアントの構造を決定した。その結果、AIで設計された多くのヌクレアーゼが、複数の細胞種にわたって天然酵素と同等かそれを上回る活性を有していることが明らかになった。Cryo-EMからは、改変タンパク質が様々な立体構造にわたってRNAとDNAの接触面で新たな安定化相互作用を形成したことが明らかになり、実験的に決定された初のAI設計RNA誘導型ヌクレアーゼの構造が示された。総合的にこれらの知見は、設計戦略によっていかに活性を有する非天然遺伝子編集酵素を作ることができるかを示している。
Journal
Science
Article Title
Structure and evolution-guided design of minimal RNA-guided nucleases
Article Publication Date
16-Jul-2026