image: HDCAの脂肪肝抑制機構 view more
Credit: Dr. Eunyong Lee and Prof. Takashi Miki from Chiba University, Japan; and Prof. Antonio Vidal-Puig from University of Cambridge, UK Source link: https://doi.org/10.1016/j.celrep.2026.117822
■研究の背景 (詳細は別添参照) 研究チームは、これまでに肥満に伴う脂肪組織の機能不全が肝臓 への脂質流⼊を増⼤させ、⾼脂肪⾷による脂肪肝の発症・進展を誘 導することを、脂肪組織を起点とした視点から⽰してきました。ま た、糖尿病モデルマウスの解析から、脂肪組織の脂肪分解の変化が 肝臓の糖新⽣や胆汁酸代謝と密接に関連すること、正常の脂肪組織 を移植すると肝臓の糖新⽣が抑制されるとともに胆汁酸の⼀種であ る HDCA が有意に上昇することを⾒い出しました。しかし、HDCA の増加が肝臓の代謝変化に寄与しているかは、これまで明らかにさ れていませんでした。 ■研究成果のポイント (詳細は別添参照) 1. HDCA は iNKT 細胞/IFN-γ 注5)を介した免疫代謝経路で PPARα 依存的に脂肪肝を抑制する ⾼脂肪⾷(HFD)を負荷したマウスに HDCA を投与すると、肝臓内の iNKT 細胞が増加して IFN-γ の産⽣が 促進され、これに伴い脂肪酸酸化に関わる遺伝⼦群の発現が PPARα 依存的に上昇し、肝臓の中性脂肪蓄 積が抑制されました。⼀⽅、iNKT 細胞を⽋損させたマウス(Ja18-/-)や、PPARα を⽋損させたマウス(Ppara- /-)では、HDCA による脂肪肝抑制効果は認められませんでした。 2. HDCA は GLP-1 を介した内分泌経路でも、PPARα 依存的に脂肪肝を抑制する HDCA 投与は⾎中の GLP-1 濃度も上昇させました。GLP-1 受容体作動薬を投与すると、野⽣型マウスおよ び Ja18-/-では HFD による脂肪肝が抑制されましたが、Ppara-/-および GLP-1 受容体を⽋損させたマウス (Glp1r-/-)では、この抑制効果は認められませんでした。さらに、Glp1r-/-では HDCA そのものによる脂肪 肝抑制効果も消失することが確認されました。
■今後の展望(研究者コメント) 本研究により、HDCA は単⼀の分⼦や経路のみを標的とするのではなく、複数の経路に同時に働きかける 「マルチターゲット治療」としての可能性が⽰されたことで、今後、脂肪肝や脂肪肝炎(MASH)に対する 新たな治療戦略としての安全性・有効性のさらなる検証と、臨床応⽤に向けた研究の進展が期待されます。 ヒオデオキシコール酸(HDCA)が脂肪肝を抑制 - iNKT 細胞と GLP-1、2つを介した経路がカギに - 202 6 年 9 ⽉ 18 ⽇ 国⽴⼤学法⼈千葉⼤学 ⽂部科学記者会、科学記者会、千葉県政記者クラブ、PR TIMES 御中 ■⽤語解説 注 1)ヒオデオキシコール酸(HDCA):胆汁酸の⼀種で、特にブタの胆汁に多く含まれる2次胆汁酸。 ヒトの腸内細菌も産⽣できることが報告され、脂質代謝や免疫機能への関与が近年注⽬されている。 注 2)iNKT 細胞:⾃然免疫と獲得免疫の両⽅の性質を併せ持つリンパ球の⼀種。特定の脂質抗原を認識 して活性化し、IFN-γ などのサイトカインを速やかに産⽣することで周囲の細胞の機能を調節する。 注3)GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1):⼩腸から分泌されるインクレチンの⼀種。インスリン分泌を 促進するほか、近年は肝臓の脂肪代謝を改善させる作⽤も報告されている。GLP-1 受容体作動薬は糖尿 病・肥満症治療薬として世界中の臨床で広く⽤いられている。 注4)PPARα(ペルオキシソーム増殖因⼦活性化受容体 α):肝臓に多く発現する核内受容体の⼀種で、 脂肪酸の取り込みや酸化に関わる遺伝⼦群の発現を制御する転写因⼦。 注5)IFN-γ:主に活性化した T 細胞、NK 細胞、iNKT 細胞が産⽣するサイトカインで、免疫応答の調 節に加え、細胞の代謝機能にも影響を与えることが知られている。
■論⽂情報 タイトル:Hyodeoxycholic acid suppresses hepatic steatosis in a PPARα-dependent manner via distinct GLP-1- and iNKT cell-mediated pathways 著者:Eunyoung Lee, Ryo Hatano, Mariko Takami, Masanori Fujimoto, Hayato Yoshikawa, Yukihiro Endo, Ryo Koyama-Nasu, Atsushi Onodera, Jing Li, Sergio Rodriguez-Cuenca, Sonia Rodriguez-Fdez, Ioannis Kamzolas, Yu-Hung Lin, Guillaume Bidault, Tomoe Noda, Hitoshi Shimano, Motoko Y. Kimura, Shinichiro Motohashi, Tomoaki Tanaka, Antonio Vidal-Puig, Takashi Miki 雑誌名:Cell Reports DOI:10.1016/j.celrep.2026.117822 ■研究プロジェクトについて 本研究は、以下の⽀援を受けて遂⾏されました。 ・⽇本学術振興会・科学研究費助成事業(科研費)(19K06757、20K08583、22H02800、25K02439) ・科学技術振興機構(JST)(JPMJPF2301)
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Journal
Cell Reports
Method of Research
Experimental study
Subject of Research
Animals
Article Title
Hyodeoxycholic acid suppresses hepatic steatosis in a PPARα-dependent manner via distinct GLP-1- and iNKT cell-mediated pathways
Article Publication Date
25-Aug-2026