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新しい細菌「毒産生者」により捕食者の軟体動物と被食者の藻類の防御策が明らかに

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新たに発見された特殊細菌で、防御のための毒を産生するものを基にした場合に2種間ではなく3種間の海洋生物間の独自の共生関係が発見された。Samantha MascuchとJulia Kubanekは関係するPerspectiveで、この研究によって初めて、毒ウミウシとその餌である藻がいかにして化学的防御を行うかに解答が得られ、サンゴ礁における生物の多様性と安定性に寄与する複雑な微生物相互作用の解明に手掛かりが得られたと述べている。「海生無脊椎動物に特徴的に見られる、生物活性化学物質を生み出す細菌との共生関係が真核海藻類でも同様に起こっていることが初めて実証された」とMascuchとKubanekは書いている。多くの海洋生物は小さな有害分子を蓄積することで捕食者から身を守っており、その防御作用は食物連鎖の上位まで持続する。例えば、藻Bryopsis種はカハラリドF(kahalalide F:KF)と呼ばれる毒を持ち、それによって大半の捕食者を撃退している。そしてBryopsisを食べるウミウシElysia rufescensも同様の防御利益を得ている。KFとそれに類する毒素の起源は共生細菌だと推測されるが、これらの毒素を産生する細菌種はまだ明らかになっていない。Jindong Zanらはハワイ・ホノルルの藻類ブルームでBryopsis標本を新たに収集し、Bryopsis種が多数の有毒なカハラリドを産生する未知の細菌種を宿していることを発見した。Zanらはその細菌種をCandidatus Endobryopsis kahalalidefaciensと名付けた。Ca. E. kahalalidefaciensのゲノム解析により、その細菌はアミノ酸を形成する完全な経路を持っておらず、自由生活できないことが判明した。つまりその細菌はBryopsis種のための毒産生者という特定の生態的地位を占めるように進化したのである。驚いたことに、ウミウシE. rufescensは共生器官を全く持っていないが、Bryopsisを食べてその細菌を消化することでKFを我が物にすることができる。ここで説明したこの間接的防御メカニズムは、軟体動物に見られる他の化学物質の起源を説明できると著者らは述べている。

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