News Release

創傷治癒を導く細胞時計

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

創傷治癒のプロセスに不可欠な線維芽細胞が、その概日時計からの合図に基づいて、治癒への関与の仕方が異なることが研究者らにより報告され、創傷を受けた時刻によって創傷治癒の転帰が異なる理由についての洞察をもたらした。これらの研究者らによれば、Burn Injury Databaseから得られた臨床データはこれらの結果を反映しており、細胞の創傷治癒に関与する細胞に作用する細胞時計は夜間にはいわゆる「活動期の概日相(active circadian phase)」ではなく、治癒にかかる時間が特に長くなる。どの時刻に治癒が最も効率的に行われるのかに関するこれらの洞察は、侵襲的手技を受ける患者の転帰を改善するために利用できると考えられる。自然な昼夜のサイクルが乱れることは、がんや糖尿病などの多くの疾患と関連付けられているが、体内の多くの細胞種に対して概日時計がどのような影響を及ぼしているのかはいまだに正確には分かっていない。特に、様々の異なる細胞種が、それぞれの細胞に特異的な働きを強めるために、どのように時計の特有の働きをさせているかは、謎である。線維芽細胞(結合組織中に最も多く存在する細胞)における生物時計の役割を解明するために、Nathaniel Hoyleらは、完全な2サイクルの概日サイクルにおける培養線維芽細胞について、その蛋白質のプロファイルを調べた。特定された1,608の蛋白質のうち、237は細胞時計に従ってその量が増減し、それらのサイクルを示す蛋白質の多くは細胞骨格の再組織化(組織修復のために開いた傷の中へ細胞が移動するための必要条件)のある側面に関与していた。Hoyleらが培養ヒト細胞およびマウス皮膚における細胞骨格の動態を可視化したところ、概日サイクルの休止期ではその動態はより緩慢であったのに対し、活動期に生じた傷はより速やかに閉鎖した。Burn Injury Databaseから得た過去の臨床データの後ろ向き分析により、夜間に生じたヒトの熱傷は、日中に生じた場合よりも治癒するのに60%近くも余計に時間がかかっていた。Hoyleらは、手術前に細胞時計をリセットすることで、治癒を促進できるのではないかと推測している。

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