News Release

コロイドゲルはどのようにして弾性を獲得するか

Peer-Reviewed Publication

Institute of Industrial Science, The University of Tokyo

東京大学 生産技術研究所の田中 肇 教授、鶴沢 英世 元博士課程大学院生(現日本FEI 株式会社)、レオクマック マチュー 元特任研究員(現フランス、CNRS研究員)、ルッソ ジョン 元特任助教(現英国、ブリストル大講師)の研究グループは、直径nm~μm程度の大きさの球形粒子(コロイド)が溶媒中に分散した「コロイド分散系」において、コロイドゲルが形成される過程を、共焦点顕微鏡を用いて、全てのコロイド粒子の位置を補捉しながら3次元的に観察することに成功した。同時に、コロイドゲルの形成過程におけるコロイド分散系の力学的な性質を、粒子の運動の様子から明らかにすることで、ゲル化に伴う弾性の発現の起源を明らかにすることに成功した。その結果、「コロイドゲルの弾性は、コロイド粒子の凝集に伴い粒子が動きづらくなること(ガラス転移)により発現する」という従来の定説を覆し、「弾性は、少々の外力では変形しないような力学的に安定な粒子の凝集体が、全系にわたって繋がりあうことで発現する」ことを発見した。このことは、コロイドのゲル化に伴う弾性の発現が、純粋に力学的な起源によることを意味する。以上の成果は、コロイドやタンパク質などのゲル化の基礎的理解に資するのみならず、コロイド科学はもとより、生物科学、化粧品科学、食品化学をはじめとする様々な分野への波及効果が期待される。

本成果は2019年5月31日(米国東部夏時間)に「Science Advances」のオンライン速報版で公開される。

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