News Release

類人猿はヒトと同じように他者の考えを理解する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

Apes Demonstrate Human-like Understanding of What Others Believe

video: Video stimuli ape's tracked gaze mapped onto it: Experiment 1 of Krupenye, Kano et al. (2016). view more 

Credit: Christopher Krupenye, Fumihiro Kano, MPI-EVA, Kumamoto Sanctuary

新しい研究によると類人猿は他者の誤信念に気付くという。この研究結果により、ヒト以外の霊長類も自分のとは異なる他者の信念や欲望、意思、見方を理解することが示された。これは「心の理論(ToM)」と呼ばれる現象で、ヒトに特有のものと広く考えらえていた。複数の行動実験によって、類人猿は単に外面的な合図だけではなく他者の考えや知識も理解したうえでその行動を推測していることは示されている。しかし、誤信念といったToMに関わるより複雑な精神状態を把握できるかどうかは依然として分かっていなかった。Christopher Krupenyeらは今回、チンパンジー、ボノボ、オランウータンという3種の類人猿にモニターで短時間のビデオを見せ、その間、赤外線視線追跡装置を用いて非侵襲的にそれらの凝視を追跡して研究を行った。これら類人猿に見せたのは次のようなビデオである。物がある場所に隠されていることを人が見ている。次に、その人がその場に居る状態と居ない状態の2パターンでキングコングの衣装を着た人にその物を次の場所に移動させた。続いてその両パターンで、物を完全に移動させた後にその人に物を探しに行かせた。人が物の移動を見ていなかった場合、22匹の類人猿のうち17匹は人が最初に隠されていた場所に間違って物を探しに行くことを正しく推測していたことが視線追跡データから判明した。物が隠されていると人が予測する場所を類人猿が正しく推測したことは類人猿が人の見方を理解していることを示している。関係するPerspectiveではFrans B. M. de WaalがKrupenyeらの結果とヒトにおけるToMとを比較し、今回の研究結果についてより詳しく述べている。

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