News Release

津波起源の電磁場の海底観測により地震断層の傾斜方向を推定

Kyoto University study reveals quake fault secrets, implications for early warning

Peer-Reviewed Publication

Kyoto University

Tsunami EM Field Reveals Quake Fault Secrets

image: Kyoto University researchers show that details about fault dip direction can be extracted from tsunami-borne electromagnetic fields. Such details may contribute to tsunami early warning systems that are more informative for residents of coastal areas. view more 

Credit: Eiri Ono/Kyoto University (K-CONNEX)

1.背景

地震波を使った地震断層パラメータの推定では,断層の走向は決められても断層がどの方向に傾斜しているかについては地震波の解析だけからは決定できない場合もあります。そういった場合には,事後に余震分布などを見ながら断層傾斜を確定してゆく事になります。

 震央が海域にあると,地震に伴い津波が発生する時があります。私達の研究グループでは,地球磁場のような弱い磁場の下であっても,導電的な海水が津波に伴って一斉に運動することで有意な電磁場が発生する事を世界で初めて検出しました(Toh et al., 2011)。検出した津波電磁場は,津波の到来方向や波高,押し波/引き波の別,分散の有無など,さまざまな津波に関する情報を含んでいる事が分かりました。

2.研究手法・成果

そこで本研究グループは,新たに発見されたこの津波電磁場が津波を引き起こした地震の震源情報解明に役立てられないか,と考えました。津波電磁場の発見以来,その二次元計算は既に可能になっていましたが,本論文では多くの津波に対して電磁気的には海洋が十分薄いと仮定できる事に着目し,非一様薄層導体近似を適用して津波電磁場の三次元計算を可能にしました。また,既存の津波計算法を改良し,津波の位相速度が周期に依存する性質(津波の分散)を効率良く取り入れられるようにしました。

 その結果,2007年1月に千島海溝海側斜面で発生した分散性津波(図2左)に伴う津波電磁場を説明するには,対応する津波地震の断層傾斜が「北西落ちではなく,南東落ちでなければならない」ことを,海底で観測された津波電磁場データを用いて実証しました。

3.波及効果、今後の予定

本研究によって,地震学に対する津波電磁場の有効性が確かめられたと考えられます。しかし、この研究で用いた三次元津波電磁場計算法は,非一様導体近似を周波数領域で適用した後,データと比較する際にその結果を時間領域に逆変換するというやや煩雑なものでした。今後は,時間領域における津波電磁場の三次元直接解法の開発が行われる予定です。また,津波が作る電磁場を利用した津波予測や早期警戒への応用が期待されます。

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