News Release

ヨウ素のオキソ酸は大気の自然が保たれている領域において速やかなエアロゾル形成を促す

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

ヨウ素は、海岸域や北極圏境界層、あるいは上層の自由対流圏などといった、大気の比較的自然なままの領域における新粒子生成(NPF)に、考えられているよりも大きな役割を果たしていることが、新たな研究により示されている。著者らは、この測定結果が、比較的自然なままの領域において、ヨウ素のオキソ酸による粒子形成が、大気条件下でNPFを促進する気体である硫酸と競合していることを示していると述べている。高度の大気中で浮遊している小型粒子であるエアロゾルが地球の気候システムにおいて不可欠な役割を果たしている。雲の形成には雲凝結核(CCN)と呼ばれる浮遊粒子が必要であり、エアロゾルはCCNから雲が形成される際の核となる。大気中のエアロゾルの発生源の多くは地上起源であり、例えば風で吹き上げられた粉塵などがそうである。しかし正常な条件下では、気体分子が濃縮されて凝集し、大きく成長してエアロゾル形成に至る。NPFは全CCN形成の約半分を占めると推定されているが、エアロゾルと雲の相互作用についてはほとんど不明であり、現在の気候モデルにおける不確実性の主要な原因となっている。これまでに、大気条件下でNPFの起源として同定されている気体はわずかである。硫酸やその他少数の粒子とならんで、大気条件下、特に海岸域および海域でNPFを引き起こすことが知られている数少ないものの1つがヨウ素酸(HIO3)である。しかし、ヨウ素酸形成の発生速度はほとんど分かっておらず、現時点ではグローバル規模での意義は限られると考えられている。今回Xucheng Heらは、NPFに関して、特に比較的自然なままの大気においてヨウ素が極めて重要な役割を果たしているとの実験的エビデンスを発表した。Heらは、欧州原子核研究機構(CERN)のCLOUD(Cosmics Leaving Outdoor Droplets)チャンバーを用いて、HIO3粒子では核形成速度が速く、同様の条件下において人為的に発生する硫酸-アンモニアよりも速いことを明らかにした。さらに著者らは、様々なヨウ素のオキソ酸が、迅速な核形成において重要な役割を果たしていることを発見した。

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