News Release

重度のピーナッツアレルギーは「腸の反応」である可能性

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

ピーナッツアレルギー患者19例を対象とした新たな研究から、アレルギーを引き起こす抗免疫グロブリンE(IgE)抗体が腸管内で多いことが明らかにされ、ピーナッツやその他の食物に対して重度のアレルギーが生じる機序についての重要な知見が提供されている。これらの食物アレルギーを合わせると、罹患者は米国の人口の6%をも占めている。この研究は、Science Immunologyに掲載され、付随するPerspectiveがScienceに掲載されたが、ピーナッツ蛋白経口免疫療法の臨床試験に参加した患者から得た腸管組織におけるIgE産生B細胞のサンプルの検討(非常に難しい作業)を行った。その結果、腸管内の抗体産生B細胞は、ピーナッツを標的とする無害なタイプの抗体の産生から、クラススイッチ組み換え(CSR)として知られるプロセスによって、IgEの産生に切り替わる可能性があることが明らかになった。この結果から、腸管内におけるCSRを標的として予防することが有望な治療アプローチとなる可能性が示唆される。さらに、著者らによれば、貝類や堅果など他のアレルギー性食品に対する特異的な抗IgE抗体をさらに明らかにし、それらの発現部位を特定することで、これらのタイプのアレルギーに対する治療への患者の反応を追跡することがより容易になる可能性がある。

食物アレルギーによる反応は幅広く、軽度の炎症から生命に関わるアナフィラキシーまで、どのタイプの抗体が食物抗原に結合するかによって異なる。例えば、IgGがピーナッツ蛋白に結合すれば無害であるが、IgEが結合するとアナフィラキシーとなる場合がある。食物アレルギー患者の組織中におけるIgE産生B細胞を調べた研究はほとんどないが、その理由の一部として、そうした組織のサンプル採取が難しいこと、またIgEが短時間しか存在しないことが挙げられる。今回Ramona Hohらは、ピーナッツ蛋白経口免疫療法を受けた患者19例について治療開始前にルーチンで行われた生検を調べ、胃、十二指腸および食道のB細胞系列形質細胞の抗体遺伝子について配列決定を行った。その結果、IgE産生形質細胞が胃および十二指腸で多いことが分かった。多くの患者で、同様のピーナッツ反応性のIgE DNA配列が共通に認められ、このことから異なる個人の免疫系においてピーナッツ蛋白の認識が同様に行われていることが示唆される。Hohらはまた、IgEをコードする複数の配列が同じ腸管組織中の他の抗体でも共通して認められ、これにより腸内環境内に存在する形質細胞においてCSRが生じIgEが産生されていることが示唆される。Scienceに掲載された関連するPerspectiveでDuane WesemannとCathryn Naglerは、IgE産生をもたらすCSRが生じるのに適した腸内環境の特徴を明らかにし、また経口免疫療法後の腸内におけるIgE産生に何が起こっているのかを明らかにすることを、今後の研究にとって優先度の高い問題とすべきであると論じている。

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2020年3月26日にScienceは、Hohらの研究と、より広くピーナッツアレルギーに焦点を当てたFacebook Liveイベントを開催する。リポーターと一般市民の両者がこのイベント(以下のサイトで開催予定:https://www.facebook.com/ScienceMagazine)に参加して、専門家に質問をしてほしい。


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