土星探査機カッシーニが2015年、氷に覆われているエンケラドス（土星の衛星の1つ）の南極域にある裂け目から吹き出る間欠泉の中にそれまでで最も深く進入した際、観測装置によって、間欠泉の蒸気中に水素分子の存在することが検出された。Hunter Waiteらが、この結果を報告しており、続けて、この衛星の氷で覆われた表面下の海中における高温の岩石と水の間の熱水反応が、このような水素の唯一もっともらしい発生源であることを明らかにしている。（地球では、同様な反応過程によって、熱水孔周辺のすべての生態系にエネルギーが提供されている。）さらに分析を進めて、Waiteらは、間欠泉の豊富さから、エンケラドスの表面下の海中の揮発性物質の濃度を推定した。この論文の研究者らは、カッシーニが通過した蒸気および粒子物質には、最大1.4体積百分率の水素分子および最大0.8体積百分率の二酸化炭素が含まれていることを示唆しており、これらは、地球の深くて暗い海底環境において、微生物の存在を維持する反応であり、メタン生成として知られる過程にとって不可欠な成分である。「Waiteらの成果は、エンケラドスの居住可能性に関する評価における重要な進展である」とJeffrey Seewaldが関係するPerspectiveにおいて提案している。
###
Journal
Science