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遺伝性眼疾患患者では、片目の遺伝子治療によって両目の視力が改善される

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

遺伝性眼疾患の遺伝子治療では、片目にしか注射していなくても両眼の失明を改善できることが、患者37名を対象とした第3相臨床試験で示された。96週間後、治療した患者には視力の持続的な改善が認められ、遺伝子治療により、遺伝性の失明病であり治療法がほとんどないレーベル遺伝性視神経症(LHON)に対して安全かつ有効な治療が行えるというエビデンスが示された。この試験は、治療が予想外に両眼に作用したと考えられる理由の手掛かりも与えており、この知見は同様な治療に関する今後の研究の参考となると思われる。ウイルスベクターを用いた遺伝子治療は、LHONを含めたさまざまな遺伝性疾患への介入法として試験が行われている。科学者は遺伝子治療の方法を改善し続けているが、この10年間に大きな進歩があり、一部の治療は臨床試験の最終段階を開始している。Patrick Yu-Wai-Manらは、ミトコンドリア(細胞のエネルギー生産者)の遺伝子異常を是正したウイルスベクターを用いて、LHONにより失明した患者37名を治療した。驚くべきことに、治療では各被験者の右目にのみ注射を行ったにもかかわらず、96週間後、患者の78%で両眼に視力の改善が認められ、副作用は軽度であった。Yu-Wai-Manらは非ヒト霊長類でこの知見を詳細に検討し、ベクターのDNAが、治療した眼と治療していない眼の両方に認められたことを報告した。試験の最後に、患者は、自立度、メンタルヘルス、全体的な見え方、その他のQOL指標の改善も報告した。Yu-Wai-Manらは、この試験に真の前向き対照群がないことを指摘しており、両眼の改善を可能にした機構を突き止めるため、さらに試験を行うことを推奨した。

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