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ペロブスカイト太陽電池が商業化に向けて飛躍

ペロブスカイト太陽電池が商業化に向けて飛躍

Peer-Reviewed Publication

Okinawa Institute of Science and Technology (OIST) Graduate University

Perovskite Solar Module

image: Dr. Zonghao Liu (left) and Professor Yabing Qi (right) with the 5 cm × 5 cm perovskite solar module that they developed in their lab at OIST. view more 

Credit: OIST

太陽エネルギーは長年、化石燃料依存から脱却するため、最も持続可能な選択肢と考えられてきました。ただし、太陽エネルギーを電力に変換する技術は、効率的かつ安価でなければなりません。

この度、沖縄科学技術大学院大学(OIST)のエネルギー材料と表面科学ユニットの研究者らは、低コストかつ効率が高い太陽電池の新しい製造に向けて、確たる自信を得たと言います。中国陝西師範大学の刘生忠(Shengzhong Liu)教授との共同研究において、OISTのヤビン・チー准教授と研究チームは、自然界に存在するペロブスカイトの結晶構造を模倣した材料や化合物を用いた太陽電池を開発しました。Nature Communications誌に掲載された研究論文において、研究チームはこの技術を以下のように説明しています。

太陽電池の商業化には、チー准教授が「黄金の三角地帯」と呼ぶ3つの条件を満たす必要があります。一つ目は太陽光の電気への変換率が高いこと、二つ目は安価に生産できること、三つ目は耐久性に優れていることです。今日商業化されているほとんどの太陽電池では、約22%という比較的高いエネルギー変換効率を有する結晶シリコンから作られています。ただし、このような太陽電池の原料であるシリコンは豊富にあるものの、処理が複雑で製造コストが高くなるため、完成品が高価になってしまいます。

一方、チー准教授によると、ペロブスカイトは、これらの課題に対してより安価な解決策となります。ペロブスカイトは、2009年に桐蔭横浜大学の宮坂力教授の研究チームが、太陽電池製造に初めて使用し、以来その重要性は急速に伸びています。「ペロブスカイト太陽電池の研究は、非常に有望です。わずか9年で、ペロブスカイト太陽電池のエネルギー変換効率は3.8%から23.3%に上昇しました。他の技術は同じレベルに到達するのに30年以上かかりました」と、チー准教授は説明します。今回研究チームが開発した製造方法では、結晶シリコン系太陽電池に匹敵する効率のペロブスカイト太陽電池を製造でき、シリコン系太陽電池を製造するよりも、はるかに安価ですむ可能性が高いそうです。

研究者らは、新型太陽電池の製造にあたり、透明な伝導性の基質を、太陽光を非常に効率的に吸収するペロブスカイトフィルムでコーティングしました。その際、気固反応を用いた技術を使用しました。まずは基質を、微量の塩素イオンとメチルアミンガスを含ませた三ヨウ化水素鉛の層でコーティングした後、太陽電池の各セルを複数のセルからなる大きな均一パネルにする、という方法です。

この方法の開発において、研究者らは、ペロブスカイト層を1ミクロンの厚さにすることにより、太陽電池の稼働寿命を大幅に延ばせることを見出しました。「この太陽電池を800時間稼働させた後も、ほとんど変化していません。」と本論文筆頭著者で、チー准教授のユニットのポスドク研究員であるゾンハオ・リウ博士は語ります。さらに、コーティングをより厚くすると、太陽電池の安定性を高めるだけでなく、製造プロセスを容易にし、製造コストが下げられると言います。「より厚い吸収体層は、太陽電池製造の再現性をより保証してくれます。これは、実際の工業規模での大量生産にとって重要な利点です。」

チー准教授と研究チームが現在直面している大きな課題は、新しく設計された太陽電池のサイズを0.1mm2サイズのプロトタイプから、数フィート四方の大型商用パネルに拡大することであり、これには産業界との協働が必要となるでしょう。「研究室と現実の間には大きなギャップがあり、産業界ではこのギャップを完全に埋める準備ができているわけではありません。だからこそ、研究者はラボを超えて必要な一歩をさらに踏み出し、研究サイドから業界サイドに近づき、研究と現実を突き合わせなければならないのです。」と、チー准教授はコメントしています。

有言実行に向けて、チー准教授と研究チームは、OISTの技術開発イノベーションセンター(TDIC)のプルーフ・オブ・コンセプト(概念実証)プログラムによる、潤沢な助成金を受けました。その資金を用いてチームは、商業目的に必要となる面積よりも小さいながらも、実験段階の実証タイプよりもはるかに大きい、反応面積が12cm2の5センチ四方の基質上に複数のセルから成る新ペロブスカイト太陽電池モジュールの実用モデルを構築しました。本スケールアップのプロセスにおいて、太陽電池の効率が20%から15%に下がりましたが、今後数年で機能を改善し、商業化を達成できるのではないか、と研究チームは期待しています。

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