image: Free-living mallards in Sweden. This material relates to a paper that appeared in the 14 October 2016, issue of <i>Science</i>, published by AAAS. The paper, by S.J. Lycett at University of Edinburgh in Edinburgh, UK, and colleagues was titled, "Role for migratory wild birds in the global spread of avian influenza H5N8." view more
Credit: Bengt Ekberg and Siamak Zohari
新たな研究によって、2014~2015年の鳥インフルエンザのアウトブレイクは、長距離を移動する渡り鳥によって広がった可能性が高いことが明らかになった。この知見はアウトブレイクを防ぐための将来の取組みを形作るのに役立つであろう。2014年の始めに、高病原性トリインフルエンザH5N8によって、韓国で飼われているニワトリのあいだに疾患アウトブレイクがまず起こり、そこからアジア、欧州、北米のほかの国へと広がった。しかし、このウイルスがこれほど急速に世界じゅうに広まったルートについては明らかになっていない。これに関するさらなる手がかりを得るために、Global Consortium for H5N8 and Related Influenza Virusesの研究者らのあるチームがアウトブレイク発生時に様々な場所から様々な時間に採取されたウイルスサンプルのばらつきを解析した。また、このウイルスに感染している野鳥の移動のパターン、アウトブレイクの報告、H5N8が報告された国からの家禽取引の記録を解析した。その結果、このウイルスは渡り鳥の2つの主な長距離移動ルートに沿って次のように広がったことが示唆される。1つめは東アジア沿岸/朝鮮半島から北へ向かいユーラシア大陸の北極沿岸を進み、その後西へ向かって欧州へ到達するルート。2つめは朝鮮半島からベーリング海峡を渡って東へ進み、北米の西海岸に沿って南へ下るルートである。今回の論文の著者らは、感染した野鳥との直接接触や野鳥の糞に汚染されたものとの間接接触がウイルス伝播の経路である可能性が高いとみている。PerspectiveではColin Russellがこれらの研究結果について詳細に考察している。
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