News Release

マラリア寄生虫はどのようにしてアルテミシニン(抗マラリア薬)に耐性になるのか

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

宿主赤血球のエンドサイトーシスを阻害するマラリア寄生虫の変異が、アルテミシニン(広く使用されている第一線の抗マラリア薬)に耐性になる原因と考えられることが新しい研究で示され、これにより薬物耐性の重要な分子機構が明らかになった。この結果は、有効性の高い抗マラリア治療の開発に役立つ可能性がある。マラリアは、熱帯熱マラリア原虫による生命を脅かす蚊媒介疾患であり、毎年世界で200万人以上を苦しめている。アルテミシニンとその誘導体(ART)は、現在使用されている最も有効な抗マラリア薬に含まれる。しかし、アルテミシニンや広く使用されているその他の抗マラリア薬に耐性のあるマラリア原虫の出現により、その有効性がリスクにさらされている。寄生虫がどのようにしてART耐性を発現し媒介するのかを理解することは、マラリアと戦い薬剤耐性の広がりを防ぐために非常に重要である。これまでの研究で、ART耐性と寄生虫のKelch13タンパク質の変異との関連性が示されたが、Kelch13の細胞機能及び耐性における役割はほとんどわかっていない。Jakob Birnbaumらは、Kelch13とその関連タンパク質が若い環状体の寄生虫が宿主の赤血球を餌にするために不可欠であることを発見した。ARTは寄生虫によるヘモグロビンの消化により活性化される。しかし、Birnbaumらは、8個のKetch13タンパク質をすべて不活性化するとヘモグロビンの取り込みが減少し、そのためにART活性化が低下して寄生虫が薬剤に耐性になることを明らかにした。同様に、ART耐性を有する野生型熱帯熱マラリア原虫にもKetch13タンパク質濃度およびヘモグロビン取り込みの低下が認められた。この結果は、Kelch13タンパク質の安定性を変化させる変異がどのようにしてART耐性を引き起こすのかを説明している。関連するPerspectiveで、Danushka MarapanaとAlan Cowmanがこの研究について詳細に議論する。

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