News Release

生物多様性が推奨される「安全」な境界値を下回る

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

生物種の「完全性」が地球上の陸域の約58%で、専門家らが安全な境界値と考える値を下回っていることが新たな研究により明らかになった。この結果はおそらくこれまでの地球の生物多様性変化を最も包括的に定量化したもので、これまでになかった現在の生物多様性の損失度合いに鍵となる見方を与えている。生物多様性完全度指数(BII: Biodiversity Intactness Index)は、生物種の個体数の変化を表す指数で、一般的にはBIIが10%以上低下する(つまり、ある生息地内の生物種の個体数が人間の影響が無かった場合と比べて90%以下になる)と、安全限度外となる可能性があるとされている。(ただし、この安全限度の値は研究者によって意見が異なっており、最高で70%低下しても安全であるとする研究者もいる。)Tim Newboldらは、18,600ヵ所以上、39,100種以上の生物に関する230万点以上のデータを含むデータベースを解析し、地球のBIIの変化を評価した。今回利用されたデータベースは、地球の生物多様性の完全度を調査したこれまでの研究で用いられたものよりも大幅に包括的なものである。このデータベースから得られたBIIマップにより、地球の生物多様性は推奨される90%を下回り、84.6%にまで低下していることが明らかになった。一部の地域における新しい生物種の出現を考慮しても、BIIの値は人間活動による影響を受ける前と比べて88%であり、一般的に推奨される境界値以下である。土地利用による圧力が生物多様性に与える影響は生物群系によって異なり、その影響は草原において最も顕著に現れ、ツンドラと北方林では最も少ない。Newboldらの解析結果は全体としては、14種類の陸域生物群系のうち9種類において生物多様性の安全限界値を超過していることを示唆している。ただし、新しい生物種の出現を考慮して評価すると、この値は14種類中7種類にまで減少する。新しい生物種の出現を考慮した場合とそうで無い場合のシミュレーション結果の相違は、新しい生物種が生態系の機能に与える影響を理解することの必要性を浮き彫りにしている、と著者らは言及している。関連するPerspectiveで、Tom Oliverがこの研究を詳細に論じている。

###


Disclaimer: AAAS and EurekAlert! are not responsible for the accuracy of news releases posted to EurekAlert! by contributing institutions or for the use of any information through the EurekAlert system.