世界の乾燥地帯における森林被覆面積が今までの推定よりも少なくとも9%は大きいことが、新しい研究結果によって示唆されている。今回の結果は陸域の炭素吸収量の推定に関する不確実性の低減に役立つだろう。降雨量が地表面からの蒸発及び植物による蒸散の量を下回る乾燥地帯の生物群系は、地球の地表面の約40%を覆っている。これらの生物群系には、最も絶滅の危機に瀕した生態系が含まれており、生物多様性のホットスポットも含まれている。しかし、衛星データの空間解像度の差異、マッピング手法の差異、及び森林の定義の違い等により、乾燥地帯の森林被覆面積に関するこれまでの推定には矛盾点が多く存在した。これらの矛盾点のために世界の森林面積の推定結果の信頼性に関する重大な疑念が指摘されており、地球の炭素循環に森林が与える真の影響に関しても疑問が残ったままであった。今回Jean-Francois Bastinらは、世界各地の213,795地点における0.5haの区画の詳細な情報を用いて、Google Earthの衛星データを解析した。今回得られた乾燥地帯の森林の推定面積はこれまで推定されてきたものより40~47%大きく、これまで一度も報告されてこなかった森林面積が467Mha(1 Mha= 100万ha)相当あることを意味している。これにより、全球の森林被覆面積はこれまでの推定より少なくとも9%大きくなる。これらの結果は、最新の全球での森林「土地利用」面積(3890 Mha)と「土地被覆」を伴う面積の推定値の差異を説明するものである、と著者らは語っている。
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