News Release

地衣類の知られざる共生三人組

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

地衣類は、2つの異なる種(菌類および光合成をする共生者)で構成されている生物として知られている。しかし今回、新しい研究によって、第三の種もこの共生関係に寄与していることが明らかになった。140年以上前から知られている通り、地衣類は菌類と藻類(シアノバクテリア)で構成されていて、そのどちらか一方でも欠ければ地衣類そのものが生きていけない。だが最近になって、完全に機能する地衣体(葉状または樹状をした地衣類の構造)の形成において、もう1つの種が関与している可能性が示唆された。今回、さらなる調査を行うためにToby Spribilleらは有毒なブルピン酸を生成するBryoria fremontiiB. tortuosaの2種類の地衣類に注目した。B. tortuosaの生成するこの酸は黄色がかっており、いっぽうB. fremontiiは茶色でこの効果についてはわかっていない。不思議なことに、最近行われた系統発生解析によると、この2種類の地衣類の間には、それぞれの菌類にも光合成をする共生者にも、遺伝子配列の大きな違いは見られなかった。そこで、Toby Spribilleらは米国モンタナ州でこれらの種のサンプルを15個採取し、mRNA配列決定を行った。そのデータから、担子菌門の酵母の一種のCyphobasidiumであることを示す、506の遺伝子シグネチャーが明らかになった。この酵母は、ブルピン酸が大量にあるほど豊富に存在した。研究チームはさらなる調査により、6つの大陸で地衣類の52の属に関係している担子菌系統を見つけた。このCyphobasidiumを最も近縁の種と比べて分析した結果、多くの地衣類と相前後して進化した可能性が示唆された。このことから、もう1つの種が地衣類を構成するようになってから、長い進化の歴史があることがうかがい知れる。Cyphobasidiumを取り除くと、地衣類の表皮層内に死細胞が見つかったことから、その存在が地衣類の健康に不可欠であることが示唆された。

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