News Release

「ロボット鳩」の羽レベルの知見によって鳥類を模擬することにより近づいた飛行ロボット

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

人工の機械では未だに再現不可能なきめ細かな挙動で鳥類は飛行しているが、Science RoboticsおよびScienceに掲載された2つの新しい研究は、何で鳥類がこの並ぶもののない制御を得られるかについてさらに解明することによって、鳥類と同等に敏捷に空中で飛行制御することができる飛行ロボット開発への道を開いた。ロボット工学では、ほぼ20年間にわたり羽の生えた飛行生物を複製しようと試みてきたが、硬い羽の様な板が使用されるとともに、高度に変形可能な翼を裏方で支える骨格および筋肉の運動に関する理解が欠如していたことから、これらの取り組みは遅々として進まなかった。Science Roboticsにおいて、Eric Changらは、普通の鳩の解剖用死体について翼の屈曲・伸展運動を測定した。40本の鳩の羽で出来た翼を備えたロボット(ニックネームは「ロボット鳩」)に対して発見事項を適用した。弾性の合成靱帯を介して、これらの鳩の羽は人工の手根骨および指骨に接続された。鳩の羽を風洞に設置して、研究者らは、手根骨および指骨の動きによって、羽の配置、翼幅、翼面積およびアスペクト比が微細に制御されることを発見した。ロボット鳩を用いた飛行試験では、手根骨および指骨の非対称な動きによって、鋭角でも安定した旋回飛行制御が開始されており、鳥類が自身の手根骨を主に使用して、飛行を制御することの最初の証拠の一部となった。

Scienceにおいて、Laura Matloff、Changらのチームメンバーは、種々の鳥類について個々の羽の間の相互作用を調査して、羽の変形の基礎となる2つの機構、すなはち、(1)羽の受動的な再配置および(2)羽の各々の「枝」から突き出ているフック形状の微細構造を介して、隣接して重なる羽が結び付けられることを発見した。これらの微細構造は、ベルクロ(マジックテープの一種)のように機能して、翼の伸展の際にロックされ、翼の屈曲の際に自動的にロックが解除される。ロボット鳩によって、今回の研究者らは、この「指向性ベルクロ」が無ければ、「羽の間で隙間が生じて、種々の環境条件下におけるダイナミックな羽の変形に必要な一致団結した羽の間の調整が失われることになる」ことを発見している。興味深いことだが、メンフクロウの様な静かに飛行する生物では、大きな音のする着脱機構が発見されなかった。鳥の飛び羽の間にある「指向性ベルクロ」が発見されたことから、現代の鳥類および有翼の祖先の進化について情報が得られるとともに、ファッション、医療および航空宇宙における用途について調査研究される可能性があると今回の著者らは述べている。

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