News Release

新しく発見された植物細胞の成長誘発因子は現在の説と矛盾している

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

植物細胞の形と成長は、これまで考えられていたように細胞内の液体の圧力の上昇、すなわち膨圧に頼っているわけではないかもしれない。そうではなく、細胞壁内の小さなペクチンフィラメントの膨張がこのような形態変化を推進することが、新しい研究で示された。もしこれが本当ならば、この発見は、植物細胞の伸長に関する現在の教科書モデルを覆す可能性があり、同様な生化学的プロセスが動物を含む他の生物においても細胞の成長の根底となっていることが示唆される。著者らは、この観察結果によって植物細胞壁のユニークな伸長を真似た新しい洗練された物質の開発が刺激されることも望んでいる。ペーブメント細胞(pavement cell、パズルのピースに似た表皮細胞)のネットワークから構成される植物の最外層は、構造と、内部にある特殊化した細胞を保護している。ペーブメント細胞の細胞壁は、多糖類、タンパク質およびペクチンで構成され、細胞の形状、サイズ、分裂を支持する化学的要因に反応して、異なる状態に変化できる。しかし、細胞壁の成分が、パズルのピースに似た細胞の成形や伸長にどのように寄与しているのかはまだ不明である。Kalina Haasらはシロイヌナズナ子葉(発芽種子から現れる最初の葉)のペーブメント細胞の形態形成を検討した。Haasらはデータ可聴化法を用いてさまざまなペーブメント細胞の形状を音で知覚化した。超解像イメージング技術を用いてホモガラクツロナン(HG)多糖類(細胞壁のペクチンの一種)に的を絞り、これらの多糖類が、構造タンパク質に結合した相互結合したネットワークではなく、別のナノフィラメントを構築することを明らかにした。顕微鏡法ではこれらの構造を綿密に見ることはできないが、Haasらは、HGが、ペーブメント細胞上で脱メチル化したときに、結晶状態から、壁の伸長と「丸い突出部」の成長を引き起こす膨張状態に変化する、マルチサブユニット構造であると仮定した。Haasらはこの仮説をモデルで検証し、モデルで、子葉の丸い突出部の発生をシミュレートして、細胞壁のペクチン成分の脱メチル化を誘導した。するとこれによって、水分補給や膨圧がないにもかかわらず、植物細胞の形状が変化した。

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