驚いたことに、よりはるかに大きな銀河であるケンタウルスAの周りを周回する矮小伴銀河に関する新たな分析から、これらの矮小伴銀河が、それらの親銀河の周りで調和のとれた周回をしていることが明らかにされた。この結果は標準宇宙論に基づくシミュレーション結果と矛盾しており、標準宇宙論では、伴銀河の系の1%未満がこのような挙動を示すと予測されている。我々の天の川および近傍のアンドロメダ銀河でも調和のとれた周回をする伴銀河が同様に配置されているため、標準宇宙論に基づくシミュレーションには何らかの誤りのあることが今回の新発見から示唆される。現行の銀河形成理論は、暗黒物質などの宇宙の標準的な構成要素に基づいているが、小さな矮小伴銀河がそれらの最も近傍にある大きな銀河の周りをランダムな位置および方向で周回しなければならないことが予想されている。Oliver Müllerらが、近傍にある大きな楕円銀河であるケンタウルスAの周りの伴銀河について分析して、これらの伴銀河が単一の平面内に配置されているだけでなく、この平面が整然と回転していることを発見した。即ち、ケンタウロスAの片方の側にある伴銀河が接近している一方で、もう片方の側にある伴銀河が遠ざかっている。データが利用可能な16個の伴銀河の中、14個がこの系統だった動きを示しているが、シミュレーションによると、そのようなシナリオの確率は僅かに0.5%であると今回の論文の著者らは述べている。これらの結果から、宇宙論および/または銀河形成について広く受け入れられているモデルには何か極めて重大な要素が欠けているか、またはそれが間違って解釈されていることが示唆される。関係するPerspectiveにおいて、「これらの結果によって、(冷たい暗黒物質に基づく)モデルにおいて銀河形成に関するより良い理解に導かれるか、または根底にある仮定が覆されることになるかのいずれかである」とMichael Boylan-Kolchinが書いている。
###
Journal
Science