News Release

公衆道徳観の矛盾から無人走行車のプログラム開発にジレンマが生じる

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

Public's Moral Inconsistencies Create Dilemma for Programming Driverless Cars (1 of 2)

image: Trolly problem of self-driving car. This material relates to a paper that appeared in the 24 June 2016, issue of <i>Science</i>, published by AAAS. The paper, by Jean-Francois Bonnefon at University of Toulouse in Toulouse, France, and colleagues was titled, "The social dilemma of autonomous vehicles." view more 

Credit: Iyad Rahwan

自動運転車についての質問をされた時、大概の人は他の人の命を救うために搭乗者の命を犠牲にする様に車両をプログラミングすることに賛成だが、この様にプログラミングされたいわば「実用的」な車に実際に乗ることにはためらいがあることが、新しい調査結果から明らかになった。この矛盾は個人の益の追求と公衆の益の追求の間に内在する社会的な葛藤を象徴するもので、今回の調査に用いられたシナリオの広範にわたって存在することがわかった。自動運転車が世界の市場に出回るためにはそれに先立ってプログラムを開発する必要があるが、今回の調査により自動運転車の基盤となるプログラム開発の難しさが顕在化したと著者らは語っている。

自動運転車によって交通事故を最大で90%減らせるとされ、その貢献が期待されている。しかし全ての事故を防げるわけではないため、事故の状況によっては自動運転車が倫理的に難しい判断を下す必要が生じてくる。自動運転車がこういった難しい判断を下す方法を決めるための議論に役立てるため、Jean-François Bonnefonと共同研究者らは2015年6月から11月にかけて米国居住者を対象としたオンライン調査を6回実施し、自動運転車に求める性能についての質問をした。今回の調査では、救うことができる歩行者の数と搭乗者の数等が異なる様々なシナリオが用いられた。(著者らが開発したインタラクティブなウェブサイトによって、参加者はそれぞれのシナリオを追体験できる。)調査の参加者は総じて、自動運転車のプログラミングは実用的であるべきだとした一方で、回答者自身と同乗者を守ってくれる車を買いたい、と回答した。これは、自己防衛的な自動運転車と実用的な自動運転車の両方が市場に出回った場合、後者に乗りたいと思う人はほとんどいないが、ほとんどの人が他人には後者に乗って欲しいと願うことを意味している、と著者らは語っている。規制は必要になってくるだろうが、今回の調査結果は規制によって自動運転車の採用がかなり遅れることを意味しており、非生産的となる可能性もある、と言及している。関連するPerspectiveでJoshua D. Greeneは、実用的な車両のメーカーは自社製品の搭乗者を見殺しにしても構わないのかと非難され、自己防衛的な車両のメーカーは他人の命を軽視していると非難されるといった、無人走行車に関連する付加的な課題について言及している。倫理的な自律機械をどうやって実現されるかは、今日の人口知能開発が抱える最も厄介な問題である、と著者らは結論付けている。しかし自動運転車の開発がさらに進む中で、今回のデータに基づいたアプローチは実験倫理学の分野がこの問題の鍵となる見識を提供可能であることを浮き彫りにしている。

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