News Release

根の競争に関する新説によって成長を支配する法則が明らかになった

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究によると、植物は競争相手が存在すると、根を過剰に生やして周辺の資源を吸い上げるが、近隣植物のそばの養分を奪うことはないという。これにより、根の競争行動を支配する法則を理解するための新しい理論的基礎が得られた。植物の根は地球のバイオマスの大部分を占めているため、限りある土壌養分をめぐる競争の様子が解明できれば、農業の効率や生産性を最適化できるなど、大きな意味がある。しかし、自然の地下環境において完全な根のシステムを観察するのは難しく、それ故に、植物の根が地下の競争にどのように反応しているかについては、ほとんどわかっていない。これまでの研究では、一見すると矛盾するさまざまな結果が出ており、根の行動を理解するうえでさらなる混乱を招いている。ある研究の報告によると、近隣に植物があれば根を自分の茎の近くに伸ばすことによって、根のシステム同士の重なりを最小化する(根の分離)傾向が見られるという。またある研究では、周辺の競争植物間に、土壌に関する一種の「コモンズの悲劇」が見られると指摘している。関連するPerspectiveではMarina Semchenkoが、「植物が自分勝手に根を過剰に伸ばして競争相手から資源を横取りすることや、根の成長を抑えて協力し合うことが利益になるのか否か、またどのような場合に利益になるかについては、長い間議論になっている」と述べている。しかし、Ciro Cabalらによると、競争状態にある植物が伸ばす根の総量と、根のシステムの空間分布を両方とも考慮している研究は少ないという。Cabalらは、植物の茎から遠い場所にある養分を取れば適応コストが増加することを説明するため、ゲーム理論に基づくモデルを開発した。その後、温室栽培されたピーマンを用いた実験で予測を検証した。モデルと実験の結果から、近隣の根のシステムと重なり合っている場合は、どの程度近くに競争相手の植物があるかに応じて、近くに過剰に根を伸ばしたり、養分を取る範囲を狭めたりして、植物は根の成長戦略を調整していることが判明した。著者らは、今回の新しい研究成果は仮説間の矛盾を解消するものであり、そうした仮説が複雑な反応の異なる側面を表しているらしいことが実証されたと述べている。

###


Disclaimer: AAAS and EurekAlert! are not responsible for the accuracy of news releases posted to EurekAlert! by contributing institutions or for the use of any information through the EurekAlert system.