News Release

越境汚染による日本の湖沼鉛汚染

Business Announcement

Kumamoto University

Trans-Boundary Lead Pollution in Japanese Lake Beds

image: Anthropogenic, trans-border lead pollution is discovered in Japanese lake sediment cores and tracked to its source in research from Associate Professor Takahiro Hosono of Kumamoto University, Japan. view more 

Credit: Associate Professor Takahiro Hosono

日本各地において国をまたいで有害物質が飛来する越境汚染が確認されています。熊本大学の細野高啓准教授らによる研究グループは、堆積速度を測る指標(CRSモデル)を用いて、日本の湖沼において鉛の蓄積速度が1900年から2009年の間に概ね加速していることを示しました。

湖沼の堆積物コアサンプルは2009年7月から2010年9月にかけて6つの湖沼の最深部で収集され、分析されました。6つの湖沼は、日本列島の日本海側に位置する人里離れた、活火山でない地域の湖沼からピックアップされました。コア部分は現地で切り出した後にビニール袋でくるみ、鉛の分析を行うまで冷凍保存されました。

細野准教授によると、1970年代、世界各国は有鉛ガソリンを使用停止し、1980年代には産業排出規制を強化し、以降、欧米諸国における鉛汚染は一定の減少傾向になっているとのことです。ところが、細野准教授や他の研究機関の研究によると、日本における降水中の鉛汚染は減少しておらず、場所によっては増加しているところさえあるのです。

日本は厳格な鉛排出制限基準を設けているにも関わらず、重工業に力を入れている東アジア大陸の極東に位置していることから、汚染物質が風に乗ってアジア大陸から日本列島へ運ばれてきてしまいます。汚染物質が日本海を越えて運ばれてきているのかどうかを調査するため、細野准教授らは、日本、中国、ロシア、韓国、台湾の様々な地域から採取した試料と、6つの湖沼の堆積物コアの鉛同位体比 (206Pb/207Pbおよび208Pb/207Pb)を比較分析しました。すると、湖の堆積物コアの鉛同位体比データの大半が、ロシアと中国から採取したサンプルと一致していました。ロシアと中国は、少なくとも湖沼サンプルが採取された時期において、越境汚染の汚染源だったということになります。さらに、ロシアからの越境汚染は1900年頃に始まったと考えられますが、ここ20年ほどで中国からの越境汚染物質が上回ったことも分かりました。

今回の研究成果に関しては、以下のURLから論文を閲覧することが可能です。

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0048969716304855

###

[Citation]

T. Hosono, K. Alvarez, and M. Kuwae, "Lead isotope ratios in six lake sediment cores from Japan Archipelago: Historical record of trans-boundary pollution sources," Sci. Total Environ., vol. 559, pp. 24-37, 2016. DOI: 10.1016/j.scitotenv.2016.03.138

[Fund]

科研費 挑戦的研究(萌芽)- (26550050)


Disclaimer: AAAS and EurekAlert! are not responsible for the accuracy of news releases posted to EurekAlert! by contributing institutions or for the use of any information through the EurekAlert system.