皮膚の色素沈着に影響を与える遺伝子を深く理解する取り組みにおいて、エチオピア、タンザニア、ボツワナに住む民族的・遺伝的に多様なアフリカ人2,092名のゲノムを配列決定することで、現在最大かつ最も包括的なデータセットの1つが作成された。これから得られる知見は、アフリカ内およびアフリカ外で、皮膚の色に関連した遺伝子が、人類移動と共に地球上にどのように移動したと考えられるかを明らかにした。皮膚の色素沈着の多様性は現代の人間のよく目立つ特徴であり、地理的・環境的多様性と関連している。幅広い違いがあるにもかわらず、世界的集団における遺伝的基盤はほとんどわかっていない。今回、Nicholas Crawfordらは、肌の色合いに何らかの役割を果たす遺伝的バリアントを明らかにした。この結果は、SCL24A5遺伝子座の近くにある光色素沈着バリアントの1つが、非アフリカ人からの遺伝子流動により東アフリカに導入されたことを暗示した。検討したすべての遺伝子座で、アフリカ人の暗い色の色素沈着に関連するバリアントは、南アジアとオーストラリア人-メラネシア人 集団と同祖的であった。追加の解析により、皮膚の色素沈着に関連した特定のDNAの領域の1つであるMFSD12が、皮膚が色素を形成する過程(メラニン形成と呼ばれる)に影響を与えるタンパク質をコードしていることが示され、Crawfordらが、ゼブラフィッシュモデルとマウスモデルでこのことを確認した(ヒトでも機能が保存されていることが示唆される)。Crawfordらは、民族的に多様な多数のアフリカ人を対象とした研究を行えば、皮膚の色素沈着に関連するその他の遺伝子座が明らかになり、ヒトの皮膚の色素沈着の進化の歴史と適応的意義に関する見識がさらに得られるだろうと述べている。
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