薬剤耐性変異を起こした結核菌の複数の株で、活性化させて薬剤感受性を回復させることができる第二の経路が発見された。薬剤耐性結核菌の発生は、ヒトに対する深刻な脅威である。2015年には約580,000症例が生じており、約250,000例の死亡に至っている。結核の原因菌に対する現在の治療は、エチオナミドなどの、細菌酵素によって活性化されるプロドラッグである。特にエチオナミドは酵素EthAによって活性化されるが、一部の耐性型結核菌はethA遺伝子が変異しており、活性化されたエチオナミドの毒性作用を受けないようになっている。Nicolas Blondiauxらは、耐性株のEthA発現を促進するためのこれまでの研究に基づき、別のEthA産生経路が存在するのではないかと考えた。今回Blondiauxらは、第二の遺伝子と相互作用してEthAの発現を促進する低分子SMARt-420を発見した。SMARt-420とエチオナミドを組み合わせたところ、さまざまな耐性結核菌に有効であった。また、耐性結核菌に感染したマウスにSMARt-420とエチオナミドを投与した場合、感染3週間後の肺の細菌量が、対照マウスと比較して有意に少なかったと、Blondiauxらは報告している。
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