News Release

現代生物の出現のきっかけとなった進化の遅い段階における事象

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

酸素を生成するバクテリアが20億年以上前に出現したことにより、現在私達が知っている形の生物が現れるきっかけが作られたが、この「幸運な展開」は複数回にわたり発生していた可能性があることが今回新たに判明した。すなわち、全てのシアノバクテリアの祖先から分岐した特定の種のシアノバクテリアが、分岐後に初めて光合成により酸素を生成する能力を獲得した、と今回の結果は示唆している。シアノバクテリアによる酸素発生型光合成の起源は約23億年前に地球を一変させ、進化の過程を大きく変化させた。しかし、シアノバクテリアがいつ、どのように光合成によって酸素を生成する能力を獲得したのかについての理解は乏しいままである。シアノバクテリアは、Oxyphotobacteria(オキシフォトバクテリア)、Melainabacteria及びML635J-21系統群の少なくとも3種類に分類されるが、オキシフォトバクテリアのみが酸素を生成することが知られている。これらのバクテリアの進化過程の詳細を調べるために、Rochelle M. Sooらは28個の既知のMelainabacteriaのゲノム、及び過去に誤分類されていたと著者らが主張する10個のMelainabacteriaのゲノムを解析した。さらに、こちらも過去に誤分類されていたと著者らが主張するML635J-21の3個のゲノムも特定した。これら41個のゲノムはどれも酸素を生成するエネルギー反応に必要な遺伝子を含んでいないことが明らかになった。これは、シアノバクテリアの最後の共通の祖先は光合成をできなかった可能性が高いことを示唆している。オキシフォトバクテリアはむしろ、Melainabacteriaから分岐した後に遺伝子の水平伝播によって光合成の能力を得た可能性が高い、と著者らは語っている。これらのバクテリアが分岐した時期は最新の研究によって約25億年から26億年前とされており、約23億年前に起こった酸素濃度の上昇の直接的な原因は、酸素発生型光合成の進化である可能性が高いことを今回の結果は裏付けている。これらの結果は、Robert E. BlankenshipによるPerspectiveで詳しく解説されている。

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