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重要な遺伝的要素:炎症性腸疾患の重症症例と関連する可能性あり

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

炎症性腸疾患(IBD)の異なる14の患者群と、腸管生検1,800検体を対象とした包括的解析から、IBDの重症症例と関連する重要な遺伝的要素が明らかにされた。この研究結果により、症状の重症度を低減するための標的となり得る蛋白質が同定され、IBDの基礎にある生物学的機序に関して強く求められている洞察が提示されている。最も一般的な腸管疾患であるIBDなどの自己免疫疾患には多くの場合、遺伝因子と環境因子の間の極めて複雑な相互作用が関与しており、それが疾患重症度や患者における治療奏効に影響を及ぼし得る。このような複雑さがあることは、研究者にとって、特に中等度~重度のIBD患者では、炎症と疾患の原因分子を特定することを難しくしている。今回Gerard Kaikoらは、重症度の高いIBD患者では血液凝固に関与する遺伝子に過度の活性が認められることを示した。これらの患者では、PAI-1と呼ばれる蛋白質の濃度も高く、これにより腸管炎症が悪化することが観察された。さらなるマウスの実験により、PAI-1はtPAという別の蛋白質を標的とすることで炎症を促進しており、tPAは腸管の内側を覆っている細胞によって産生され、腸管損傷に対する保護作用を有することが示された。興味深いことに、げっ歯類で小分子薬によりPAI-1を阻害するとtPA濃度が回復し、炎症と粘膜損傷(IBDの特徴的所見)が抑制された。著者らによれば、今回の結果によりPAI-1が有望な薬物標的であることが明らかになり、IBD患者で血栓形成などの血液凝固関連の有害な副作用のリスクが高まる理由を説明する助けとなる可能性がある。

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