News Release

新規オープンの病院で「隠された生物」の増殖をいかに追跡するか

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

Tracing How "Hidden Life" Grows Inside a Newly Opened Hospital

image: Floor-plan of a newly opened hospital where researchers characterized how microbial communities changed over time as the facility became operational. view more 

Credit: S. Lax <i>et al., Science Translational Medicine </i>(2017)

病院内の様々な表面および人々における微生物集団の組成を、新規オープンしてから稼働していく中で調査した新たな研究により、ヒトと目に見えない生物が建築物の環境内でいかに相互に影響を与え合っているかについて重要な知見が得られた。各個人は宿主として、細菌叢と呼ばれるダイナミックな細菌集団を形成する何十億もの細菌を皮膚上や体内に住まわせており、この細菌叢は人々を取り巻く環境内の、見た目は生命のない物品のほとんどに住み着いている。病院内にいる間に獲得された細菌は患者の転帰に影響を及ぼす可能性があるにもかかわらず、医療施設内の細菌叢がいかに確立され発達するかを明らかにした研究はこれまでない。Simon Laxらは、シカゴ大学のCenter for Care and Discoveryで開院前2ヵ月および開院そして開業後丸一年にわたりサンプル採取を行った。院内の2フロアにまたがる10の病室および2つのナースステーションの複数の場所から6,523の細菌サンプルを、参加者の手、鼻、腋窩、および携帯電話からスワブで採取し、個人の間や環境との間で細菌集団がどのように移行するかを追跡した。その結果、患者は最初、入室前に病室内に存在していた細菌を獲得したが、その後、患者各人の細菌叢の特徴が、周囲の壁に存在していた細菌叢に影響を及ぼし始めたことが観察された。Laxらはまた、臨床因子(患者が外来かどうか、抗菌薬使用、化学療法の受療など)および環境状態(病室内の湿度と温度など)に関連する細菌叢の多様性の変化を明らかにした。著者らによれば、今回の結果は、依然として主要な患者の死因である院内感染に関する今後の研究に、大いに望まれた基盤を提供する可能性がある。

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