News Release

家畜における抗菌薬耐性の世界的動向

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

2000年から2018年に、家畜のニワトリおよびブタに感染する病原体で抗菌薬に対して強い耐性も示すものの割合に増加がみられることが、新たな研究により示されている。この研究では、世界中で新たに登場した耐性の認められるいくつかのホットスポットについても明らかにしているが、著者らは家畜における抗菌薬使用の世界的負担を評価し、また薬物耐性病原体の発現を、特に抗菌薬耐性(AMR)の傾向があまり報告されていない発展途上国について評価を行った。大部分の抗菌薬は、食用として飼育されている家畜の健康と生殖能力を維持するために、特に低開発国および中所得国で、高動物性蛋白質食への増大する必要性を満たす目的で用いられている。しかし、大規模な抗菌薬使用により集中的な家畜生産が可能になる一方で、このことが家畜における抗菌薬耐性を有する感染性疾患の出現につながり、これが時にヒトへと伝播することがある。「抗菌薬の誤用および過剰使用により、AMRは国際的な協力体制を必要とする緊急の世界的な優先事項となってきた」と、Catrin Mooreは関連するPerspectiveで記している。Thomas Van Boeckelらは、発展途上国において病原体を対象とした901件の点発現率調査の分析を行い、大腸菌やサルモネラといった指標となる一般的な病原体の集団における薬物耐性の発生についてマッピングを試みた。Van Boeckelらは、ニワトリとブタの両方において耐性病原体株の割合に明らかな増加がみられることを発見した。さらに著者らは、抗菌薬耐性が認められる複数の地理上の「ホットスポット」を同定した。その結果によれば、中国とインド(世界のブタとニワトリの半数以上が飼育されている)が、最大のホットスポットであった。ブラジルとケニアで新たに出現したホットスポットも指摘された。「最高レベルのAMRが認められる地域は、ヒトの薬物療法にとって不可欠なものである抗菌薬の有効性を維持するために、家畜生産における抗菌薬使用を制限するなど、速やかな方策を実施すべきである」と、著者らは述べている。

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